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北國健康生きがい支援機構
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大学プログラム

北國健康生きがい支援事業
金沢学院プログラム

第2回フォーラム「考えよう!食べる大切さ」

二階堂 修氏
 金沢学院短期大学と北國新聞社は3月10日、金沢市末町の金沢学院で、北國健康生きがい支援事業・金沢学院プログラム第2回フォーラム「考えよう!食べる大切さ」を開催しました。講演会では、同短大食物栄養学科の二階堂修教授が司会を務め、冒頭で、日本の食生活の乱れなどについて問題提起しました。その後、6人の専門家がそれぞれの立場から、生活習慣病の予防につながる正しい食習慣のあり方を提案しました。
【主催】 金沢学院短期大学、北國新聞社
【後援】 石川県医師会、金沢市医師会、石川県歯科医師会、石川県看護協会、石川県薬剤師会、石川県栄養士会
【協賛】 富士通、あおぞら薬局、アルプ、石川県予防医学協会、北國銀行、北陸銀行、みずほ銀行、三井アセット信託銀行、のと共栄信用金庫、JA全農いしかわ、第一生命、北國がん研究振興財団

正しい食習慣で生活習慣病を予防


テーマ「生活習慣病をみすえて…噛むことの大切さ…」

歯周病と糖尿病は双方向の関係

綿谷 修一
綿谷歯科医院院長
 野生動物は歯を失うと、その寿命を終えます。縄文人の平均寿命が二十歳前後だったのは、老化が早いことに加え、歯を失うことが大きかったのです。現代人は、義歯など医療技術の進歩や、食べ物の軟食化もあって、歯を失っても生活できるようになりました。食べる楽しみは、生活の質を向上させてくれます。
 噛むことは大切なことです。噛むことで脳が刺激され、脳内の血流も咀嚼運動感覚領では28%上昇し、記憶力が向上する物質も分泌されます。そのほか、(1)消化を助ける(2)唾液の分泌を促す(3)肥満の防止(4)正常なあごの発育(5)ぼけ防止(6)精神的な安定-といった効果が期待できます。
 歯を失う原因は、44%を占めるむし歯が第一位です。ところが、その数字に迫る勢いなのが生活習慣病の一つである歯周病で、42 %という高い数字を示しています。歯を失えば、食べることができる食品は柔らかくなり、さらに噛む回数は減っていきます。
 歯周病の恐ろしさは、歯を失うことだけではありません。肺炎、糖尿病、心内膜炎、敗血症などの病気を誘発する危険性が増します。さらに糖尿病と歯周病には密接な関係がみられます。糖尿病が免疫機能の低下や歯周組織の破壊、微小血管障害、唾液の減少を促進させることで、歯周病を悪化させることが分かっています。一方で、歯周病の治療を行うことにより、血糖コントロールが改善したという報告もあります。
 長生きする日本人が多くなりました。ただ、寝たきりのまま、日々を過ごしているだけでは単に"長寿"なのだと思います。"長寿"とは、食事を楽しみ、人生をおう歌することです。ぜひ皆さんも長寿と呼ばれる高齢者になってください。


テーマ「生活習慣病予防のための食生活」

一汁三菜が食事の基本

大谷 幸子
金沢学院短期大学
食物栄養学科助教授
 人は案外、簡単に太ってしまうものだという自覚が必要です。一日に七〇キロカロリーずつカロリーオーバーしていくと、計算上では三年間で十キロ太ってしまうことになります。生活習慣病を予防するには、栄養素の質に気を配りながら、適正量を毎日摂取することが肝要です。
 食べ方にも工夫が必要です。食べ物を単に口に運ぶだけでなく、頭で考えながら食事をすることが大切です。
 適切な食事量を取るには、面倒なカロリー計算はいらないのです。「一汁三菜」を基本にメニューを考えれば、カロリー摂取が過剰になることは、まずありません。
 一汁三菜とは、「主食」「主菜」「副菜」「副々菜」のことを指します。メニューには、魚や豆、海そう、野菜などをバランスよく組み込むことが大切でしょう。それにプラスして、果物を一日一、二個、牛乳を二、三杯飲めば、栄養面で足りないものはなくなります。
 肥満を防止するには「体重計」「メジャー」「万歩計」でチェックすることをすすめます。体重計に乗っても、毎日の体重の数字の上下に一喜一憂する必要はありません。体重が増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのかといった動向を把握し、無理なく減らしていけばよいのです。
 最後に「金沢よいとこ」(表)という言葉を覚えてください。毎日の生活に必要な栄養素がまんべんなく取れるようになるでしょう。正しい食生活を身につけ、元気で長生きするのがゴールとなります。


テーマ「メタボリックシンドロームを考える」

内臓脂肪を減らす「歩行」

小林 淳二
金沢大学大学院
医学系研究科特任教授
 「メタボリックシンドローム」という病名が世間一般に広く知れわたるようになりました。しかし、その原因である「肥満」を病気だと認識している人は意外と少ないのです。肥満、特に内臓型肥満では、高血圧、高中性脂肪、低善玉コレステロール、高血糖を伴うことが多く、脳卒中や心筋梗塞の危険が甚だ大きくなります。
 メタボリックシンドロームと診断される基準(図)は、腹囲が男性で八十五センチ以上、女性で九十センチ以上が必須条件です。その上で、高脂血症、高血圧、高血糖のいずれか二項目が当てはまると、メタボリックシンドロームです。
 金沢市のすこやか健診のデータによると、四十歳以上の男性のうち、腹囲が八十五センチを超えている人の割合は50%前後だそうです。一方、腹囲が九十センチを超える女性は四十歳代では約10%ですが、七十歳代では約40%に達します。金沢市内に住む中年男性の五人に一人はメタボリックシンドロームだと言われています。
 メタボリックシンドロームの改善は、心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の予防につながります。ライフスタイルを変えるには、医師や保健師さんの適切なアドバイスを受けることも大切です。
 私がぜひお勧めしたいのが「歩行」です。歩行はメタボリックシンドロームに限らず、生活習慣病全般に効果が期待できます。明日から歩数計をつけ、毎日の自分の歩数を記録してください。また、肥満の方はたとえ、わずかの減量でも実現するように歩行とともに毎日の体重の記録をしてください。



テーマ「子どもの心を豊かにする食育のすすめ」

親子で一緒に食事を

相良多喜子
金沢学院短期大学
食物栄養学科教授
 現代の子どもは、常に運動不足であり、夜型生活の低年齢化が、ますます進んでいます。また、食生活のリズムが乱れています。六歳未満の幼児の約10%が朝食を毎日食べておらず、約20%の児童生徒も朝食を食べずに登校しています。朝食を食べない理由としては、男女ともに「食べる時間がない」が第一位、「食欲がない」が第二位です。
 朝食を親と一緒に食べない子どもが増えています。朝食を子どもだけで食べている家庭の割合は、昭和五十七年には22・7%でしたが、平成五年には31・4%にまで増えました。この傾向はますます強まっているようですが、家族が一つのテーブルを囲んで食事をする「共食」の大切さをかみしめてほしいと思います。
 近年、「キレやすい」子どもが増えています。「朝食を必ず食べる」「野菜や根菜類を食べる」「インスタント食品の摂取を減らす」「家族や友達と一緒に食事を摂る」といったことを習慣づけることで、心も体も満たされ、健全な子どもに育っていきます。
 朝食の大切さを裏づけるデータ(グラフ)があります。朝食を食べると、睡眠中に下がっていた体温がすぐに上昇し、脳や身体を働かせるのにちょうど良い体温が午前中、安定して続きます。食べないと、体温がなかなか上がらないだけでなく、一度上がっても昼食前に下がってしまいます。勉強や仕事に影響するばかりか、生活のリズムが乱れる原因にもなります。
 早寝早起きを心がけ、親子で朝ご飯を食べて、脳にエネルギーを補給することで、午前中からやる気と集中力を高め、さらに体のリズムを整える。一日を気持ちよく過ごし、将来にわたって健康に生活するためのコツといえるでしょう。


テーマ「知らなかったふるさとの味”金沢の優れた食材・加賀野菜”」

「食育」を再生させる加賀野菜

粟津原理恵
金沢学院短期大学
食物栄養学科講師
 近年、家計の食料費の使い方に変化が見られます。食料費全体のうち、「調理食品」と「外食費」が占める割合は、昭和五十五年では約20%でした。しかし、平成十五年には約30%にまで上昇しています。つまり、家庭での食事が「作るもの」から「買うもの」へと変わってきたわけです。
 一週間に一度、ファストフードを食べるという学生もいます。単調な味のファストフードばかり食べていると、味覚が衰えてしまう恐れもあります。このような食べ物に慣れてしまうとことで、地元料理に親しむ機会が減ってきていることも確かです。
 本学の学生に加賀野菜についてのアンケートを行ったところ、「加賀野菜を知っていますか」という問いには、石川県出身者の89%が「知っている」と答え、「知っている」と答えた県外出身者は52%にとどまり、石川県出身者の認知度の高さが際立っています。
 それに対して、「加賀野菜を食べたことがありますか」という質問には、石川県出身者が57%、県外出身者は54%で、地元の食材を口にしたことがない石川県の若者が増えていることが、うかがえます。
 加賀野菜は、昭和二十年以前から栽培され、現在も金沢で栽培されている野菜のことです。十五品目が指定されています。加賀野菜が優れている点は、おいしくて安全、食べ物に感謝する心を育成できる、四季折々の野菜が楽しめることです。
 家庭での食事が、外食や調理食品に頼るようになったため、子供たちが正しい食習慣を学ぶ「食育」を行うには、家庭、地域、学校が連携する必要があります。加賀野菜が郷土料理を再認識し、食育を見直すきっかけになればと思います。


テーマ「食品の機能、安全性と地産地消」

地元の食材が一番安全

野村 孝弘
金沢学院短期大学
食物栄養学科教授
 日本人の死亡原因の第一位は「がん」であることは周知のことと思いますが、その割合は増加の一途をたどっています。
 その原因について調べたところ、主婦は原因の44%が「食品添加物」、24%は「農薬」にあると思っているそうです。これに対し、研究者は「喫煙」と「食事」がともに原因の30%を占めていると考えています。つまり、一般的には、がんの原因が「喫煙」と「食事」にあるとは思われていないのです。
 たばこは、ほとんどすべてのがんの発生リスクを上昇させることが分かっています。それに対して、がんのリスクを下げてくれるのは、「野菜」と「果物」です。特にがん予防に効果があるのではないかとされているのが「ニンニク」「キャベツ」「大豆」「ショウガ」「ニンジン」などです。
 また、最近では食品の安全性にも注目が集まっています。安全な食品を確保するには、地元で生産された食品を地元で消費するという「地産地消」という考え方が必要となります。
 地産地消の利点は、第一に食材が新鮮です。さらに、生産者の顔が見えやすいことから、安心感が生まれます。輸送のための保存料を使う必要もありません。その土地ならではの食材を使用した料理が作られるため、地域の食文化の伝承にもつながっていくことでしょう。そういった点で、加賀野菜が優れた食材であることは間違いありません。


加賀野菜を使って健康料理
 講演会終了後、会場に隣接するカフェテラスでは、加賀野菜を使った健康料理が聴講者に振る舞われました。
 料理を考案したのは、金沢学院短期大学専攻科食物栄養専攻の1年生5人で、昨年半年間、加賀野菜について授業で学習してきました。5人は、金沢市農業センターを訪問して栽培の様子を見学し、野菜の特徴などを調べた上で、オリジナル料理の創作に取り組みました。幅広い年齢層の人たちに受け入れてもらえるよう試作・試食を重ね、この日、お披露目しました。
 会場に並べられたのは、「彩り加賀小鉢」「れんこんお好み焼き」「レンコンチーズボール」「さつまいもプリン(りんごシロップがけ)」「冬のあったかれんこん」「さつまいも食パン」の六品。どのメニューも好評で、用意された料理は瞬く間に聴講者の胃袋に消えていきました。
 母親の和代さん(42)と一緒に会場を訪れ、今年四月から金沢学院短期大学食物栄養学科への進学が決まっている内灘町旭ケ丘、明福香奈さん(18)は「さつまいものプリンがおいしかった。2人で料理をすることはなかったが、もらったレシピを見ながら一緒に作ってみたい」と料理を気に入った様子でした。


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