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北國健康生きがい支援事業
北陸大学プログラム

2007年度 第2回フォーラム
「総合健康術『世界の自然医療』で頭と身体と心の健康を〜体力×脳力×心力=健康〜」

 北國健康生きがい支援事業の北陸大学プログラム2007年度第2回フォーラム「総合健康術『世界の自然医療』で頭と身体と心の健康を〜体力×脳力×心力=健康〜」(北陸大学、北國新聞社主催)は11月10日、金沢市の北國会館で開かれました。北陸大学と関連施設の映寿会みらい病院、東洋医学臨床研究所の医師や鍼灸師らが、それぞれの立場から西洋医学を補う代替医療の役割について紹介しました。

 

病気の予防や治療後には、代替医療の活用を

出席者
川合 勝二氏(北陸保健衛生研究所検査部主任)
光本 泰秀氏(北陸大学薬学部代替医療薬学教授)
谷内 吉秋氏(東洋医学臨床研究所みらい鍼灸接骨院管理者)
劉 園英氏(北陸大学東洋医薬学教室准教授)
竹村 修氏(映寿会みらい病院副院長)
水野 海騰氏(東洋医学臨床研究所はりきゅう治療室チーフ)
コーディネーター
河島 進氏(北陸大学学長)


「体内における水分の必要性」
川合 勝二氏(かわいかつじ)

金沢市の水道水はミネラル分が豊富

 人が健康であるために、あるいは美しくあるために欠かすことのできないのが水です。人体の六〇%は水分が占めていて、日々の活動を維持していくためには、摂取したり、排出したり、絶えず水を循環させる必要があり、これが滞ると生命活動がストップしてしまいます。ちなみに一日最低五〇〇mlのおしっこが出ないと、不要な物質が体内にたまって、生命が危険にさらされると言われています。
 一日に排出する水分量は、横たわっているだけの成人男性で二〜三?です。つまりこれと等しい量の水分を毎日摂取しなければいけません。仮に体内水分量の一%が不足するだけで、人は猛烈なのどの渇きを覚えます。もしも丸一日水を飲まなければ、体内の二・五%の水分が失われ、脱水熱が出て、幻覚症状が現れます。これが脱水症状です。このとき体内のナトリウムやカルシウムのバランスが崩れ、死に至ることもあります。脱水症状は小児の場合五%、成人の場合二〜四%不足すると顕著な症状が現れます。
 ところで、私たちはどんな水を飲めばよいのでしょうか。最近ではたくさんのミネラルウォーターが市販されていて、こだわって飲んでいる人も多いようです。しかし、私たちの調査によると、金沢市の水道水には一部の有名なミネラルウォーターと同じ程度のミネラル分が含まれていることが分かりました。味にも大差はなく、飲み当てるのが難しいほどです。しかも、水道水はしっかりと殺菌消毒されています。価格もずっと安くて、百円も払えば、五〇〇mlペットボトルで千五百本分もの水道水を買えるのです。水とは長い付き合いになりますから、水道水を見直してみるのもよいのではないでしょうか。


「サプリメントの上手な利用について」
光本 泰秀氏(みつもとやすひで)

医薬品と併用するなら、必ず医師に相談を

 私たちは一般的に、ビタミンやミネラル、ハーブ、アミノ酸などを含み、錠剤やカプセルの形をした食品をサプリメントと呼んでいます。こうした栄養素は基本的には食品から摂取するものですから、食品だけで十分に摂れていればサプリメントを飲む必要はありません。しかし、食事だけでは不十分な場合があり、そんなときに便利なのがサプリメントです。コエンザイムQ10と呼ばれる栄養素を例にとりましょう。これは臓器の中でエネルギーを作り出すのに重要な成分で、今人気の高い栄養素です。日本人(四〇〜四九歳)の平均摂取量は一日に九mgと言われていますが、実は一日に三〇mgの摂取が必要とされています。この量を食品から摂るにはイワシなら八匹、牛肉や豚肉なら一kg、ホウレンソウなら三kgが必要となります。現実的に考えれば、とても食べられる量ではありません。だからサプリメントによる摂取が効果的なのです。
 一方で注意してほしい点もあります。一つは、過剰な効果を期待してはいけないということです。サプリメントを医薬品のように考える人もいますが、しっかりと有効性や安全性が評価され、厚生労働省が認可する医薬品と違って、サプリメントにはこうした評価がありません。ですから本当に効果があるか否かは断定できないのです。
 もう一つは医薬品との相互作用です。厚生労働省は平成十二年、セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)という気分をリラックスさせる成分を含んだサプリメントを医薬品と併用すると、医薬品の効果が減少すると注意喚起しました。思わぬ健康被害を引き起こすことがありますので、医薬品と併用する場合、そして妊娠中や授乳期間中にサプリメントを摂取する場合は、必ず医師に相談してください。


「リンパマッサージの効果」
谷内 吉秋氏(やちよしあき)

リンパ液の流れを促し手足のむくみを軽減

 全身を網目のように覆うリンパ管、その中を流れているリンパ液、鎖骨やわきの下、足の付け根などにあるリンパ節は、体内の老廃物や疲労物質を回収し運ぶ下水道のような役割を果たしています。しかし、体内の老廃物がスムーズに回収されないと、皮下組織に水分が過剰にたまり、むくみとなります。
 リンパマッサージはリンパドレナージとも呼ばれ、リンパ液を皮膚へのソフトなタッチでリンパ節へと誘導するマッサージです。あんまや指圧のように強い力で筋肉をもみほぐすことはしません。日本では最近ようやく注目されるようになりましたが、ヨーロッパでは十九世紀末にその基礎が確立されるなど歴史も古く、一般にも広く普及しています。リンパ液を適切に誘導することで、免疫機能向上や疲労回復、肩こりの解消といった健康面での効果に加え、ダイエットやセルライト除去など美容面でも効果があります。
 また、近年ではリンパ浮腫の治療にも取り入れられています。リンパ浮腫とは乳がんや子宮がん、前立腺がんなど、外科手術によりリンパ節を取り除いた後に現れる手足や顔のむくみで、ときには日常生活に支障を来したり、人の目が気になるほどはれ上がることもあります。現在、国内で十数万人の患者がいると言われますが、これまでは十分な治療が施されていないのが現状です。
 リンパを誘導するマッサージに加え、バンテージ(弾性包帯)による圧迫療法や運動療法、スキンケアを組み合わせた治療は医療リンパドレナージと呼ばれ、むくみを軽減し、精神的苦痛を緩和します。国内での普及はまだこれからですが、悩んでいる方は気軽に相談してください。


「広がる東洋医学の可能性」
劉 園英氏(りゅうえんえい)

身体のバランスを漢方薬で立て直す

 漢方薬は、さまざまな生薬を組み合わせた複合剤です。植物や鉱物、動物など自然にあるものでできており、安全性が高く、副作用も少ないのが特徴です。また、一人ひとりの症状や体質を踏まえた上で、それぞれに最適の生薬を処方します。
 東洋医学では「未病」を治す医師が名医だと言われます。未病とは、健康と病気の間にあり、病気になる手前の身体のバランスが崩れた状態を指します。外見は元気で自覚症状もないが、検査では血圧や血糖値が異常と診断される場合、あるいは、検査値は正常なのに、頭痛や冷え性などを抱える場合などがそれに当たります。漢方薬は未病と呼ばれる状態でも体質改善などに効果を発揮するのです。
 東洋医学で未病を治すことができるのは、「病気」ではなく、「病人」という人間そのものに焦点を当てているからです。西洋医学は解剖学などの側面では優れているものの、それだけでは病人の全体像はとらえられません。
 東洋医学の治療には漢方薬の処方に加え、こりや痛み、慢性病に効くツボ治療、体調や精神状態に合わせて飲む中国茶、年齢や季節に合わせた食生活、そして生活習慣に気を配る養生(ようじょう)法といった五つのエッセンスがあります。これらを組み合わせて健康を維持します。
 また、東洋医学では「気血水」の三本柱が健康体を支えると考えられています。「気」とは、生命力のエネルギー源であり、「血」は血液の流れによる栄養作用で、「水」は血液以外の体液を示します。これらが過不足なく体内を流れることで健康が保たれるのです。
 自然との調和にも重きを置きます。例えば、秋は空気が乾燥し、肺や鼻、のどに負担がかかります。肺につながる口やのどをうるおし、季節の変化に応じたケアを心掛けてください。


「漢方薬の効能」
竹村 修氏(たけむらおさむ)

現代の医薬品にはない独自の効能に期待

 健康管理や家庭常備薬として重宝される漢方薬は、医療現場でもよく使われています。
 慶応義塾大学病院の漢方クリニックによれば、初診患者の割合は男性三、女性七となっています。女性が多いのは、更年期障害やホルモン失調に伴う体調不良を、改善したい方が多いためと考えられます。また、診療科別にみると、内科からの紹介で受診される患者が多いようです。
 患者に一番多かった疾患は、男女ともアトピー性皮膚炎です。また、神経症やうつ、不眠などの患者も多数を占めます。
 医師の立場から言うと、漢方薬には現代医学の薬剤にないような独自の効果を期待しています。例えば、ドロドロ血をさらさらにするお血(けつ)治療剤、冷え性に効果のある柴(さい)胡(こ)剤などです。これらを現代医療の補助的療法として用いるようにしています。
 しかし、漢方による治療にこだわる患者もいます。高血圧の方から「西洋医学は嫌いなので漢方で治療してくれないか」と相談されることがありますが、それは間違いです。メインの治療は西洋医学の手法で行い、高血圧に伴う頭痛や顔のほてりといった症状を改善するのが、東洋医学の役割だと考えます。つまり西洋や東洋という違いに固執することなく、柔軟に治療を組み合わせることが大切なのです。
 漢方薬の処方に関しては、せんじ薬での投与が一番効果があります。しかし、毎日せんじるのは手間がかかり、服用が面倒です。そこで、せんじ液をあらかじめ粉末にした「エキス剤」の使用をお勧めします。近年、良質のエキス剤も登場してきました。インスタントコーヒーのように、簡単に作れ、確実に内服できるので、飲み続けるのに有効な手段です。


「はり・きゅう治療が体質を変える」
水野 海騰氏(みずのかいとう)

「気」のパワーが健康維持の源

 はり・きゅうは、患者さんの「気」を調節する治療です。特定の患部ではなく、全身を一つと見なして治療することで、体全体の大きな気の流れを整えます。一般的に、はり・きゅう治療は、「痛そう」「熱そう」などと思われているようです。しかし、現在のはり・きゅうは、痛くも熱くもないので、安心して治療に来てください。
 また、東洋医学では、「気血水」が大切で、はり・きゅうもこの三つが基本になります。例えば、水について話しますと、東洋医学では、血液以外の体内に流れる水分を「津(しん)液(えき)」と呼びます。津液は、スムーズに流れることで、初めて体内をうるおしてくれます。ただし、津液が滑らかに流れるためには、「気」の作用が不可欠なのです。
 気の作用には次の五つがあります。一つ目は人体の成長発育や血液の循環を促す「推動作用」、二つ目は体温を維持する「温煦(おんく)作用」です。三つ目は人体をさまざまな外敵から守る「防御作用」、四つ目は体液が外に漏れないようにする「固摂作用」です。そして、五つ目はエネルギー代謝により物質を生成する「気化作用」です。これらの作用がないと体内の水分は、津液として活用されません。さらに、気が十分に作用しないと、津液の流れが悪くなるばかりか、リウマチなど病気の原因にさえなります。日ごろから食生活やストレスなどに注意し、気の作用が滞ることのないようにしてください。
 はり・きゅう治療を受けたくても、どの治療院に行けばいいかわからないという方もいらっしゃると思います。社団法人全日本鍼灸マッサージ師会(ZENSHIN)のマークがある鍼灸治療院ならば、安全、安心にはり・きゅう治療が受けられるので、目印にしてください。

質疑応答
河島進氏
 講演終了後、会場から寄せられた質問に対して、コーディネーターの河島進北陸大学長が取りまとめ役となり、医師や鍼灸師らがそれぞれの専門分野について回答しました。ここではその内容をダイジェストで掲載します。

(Q)最近出回っている水素水の効果は?
(A)水素を溶かした水には、確かに物質の酸化を防ぐ力があります。しかし、体内に取り入れた場合、どんな効果があるのかは臨床的にまだ実証されていません。(川合)

(Q)サプリメントの飲み合わせで注意すべき点は?
(A)商品によって複数の成分が入っている場合があります。重複して飲んで同じ成分を過剰に摂取しないよう、十分に確認してください。(光本)

(Q)サプリメントの一日の摂取目安量には意味がある?
(A)たくさん飲めばいいわけではありません。例えば水溶性ビタミンは大量に飲んでも摂取しきれずに排出されます。飲み方としては、朝昼晩に分けて、食後に摂るのがおすすめです。(光本)

(Q)耳鳴りに効果のあるサプリメントは?
(A)耳鳴りの原因の一つとして血流の悪化が考えられます。ですから、血流をよくするイチョウ葉エキスが有効です。(光本)

(Q)リンパマッサージの翌日、痛みが残りました。これほど強くしないと効果がないのですか。
(A)リンパマッサージは皮膚をさする程度の刺激が一番効果的です。翌日に痛みが残ることはありません。(谷内)

(Q)効果的に水を飲む方法は?
(A) できるだけ温かい水を飲むことが大切です。また、その日の運動量や体調に合わせて量を調節してください。(劉)

(Q)漢方で冷え性は改善しますか?
(A)冷え性は漢方の得意分野です。病院で、漢方の医師に薬剤を処方してもらうことをお勧めします。(劉)


●無料体験コーナーも好評
フォーラムに前後して、血管年齢や骨密度を測定する簡単健康チェックや鍼灸体験が行われました。大勢の人が健康状態を確認したり、はりを打つなどして、大好評でした。



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