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大学プログラム
北國健康生きがい支援事業
第1回 平成20年度 金沢学院短期大学公開講座
「メタボリックシンドロームを予防する健康食と運動」
北國健康生きがい支援事業の第1回金沢学院プログラム「メタボリックシンドロームを予防する健康食と運動」は11月15日、金沢市の金沢学院短期大学で開かれました。メタボリック症候群の基礎知識を学ぶ講演のほか、脱メタボに役立つ料理実習と運動実習も行われ、参加者は自宅などで無理なく実践できる取り組みを体験しました。
【主催】
金沢学院短期大学
【共催】
金沢学院大学、北國新聞社
【後援】
石川県、石川県医師会、金沢市医師会、石川県歯科医師会、石川県薬剤師会、石川県栄養士会、石川県看護協会
ウオーキングは肥満予防の最良策
実 習 1 脱メタボ食を作ってみよう
加賀野菜など旬の食材をメニューに
1日2千キロカロリーが目安
参加者は3つのグループに分かれ、野菜や海産物をふんだんに取り入れた3食分のメニューを調理した
講演後に脱メタボ食を作る料理実習が行われました。
金沢学院短期大学食物栄養学科の相良多喜子教授、西野喜美子准教授、粟津原理恵講師の指導で、一日三食の総カロリーを二千キロカロリー以下に抑えることを前提に、一食のカロリーが六百〜七百キロカロリー程度のメニューを三種類調理しました。
実習では、相良教授らが、加賀野菜や旬の魚、鶏肉、キノコ類をふんだんに使った低カロリー、低脂質のメニューであることを強調し、「ゴボウに含まれるリグニンが血糖値を下げる」「キノコ類は食物繊維が多く、血中コレステロールを下げて動脈硬化を防ぐ」など、各食材が脱メタボにどういう効果を発揮するか説明しました。
野菜の種類を多く
参加者は食物栄養科の学生のサポートを受けながら調理を行い、炊き込みごはんや鮭のホイル焼き、五郎島金時のレモン煮、小坂レンコンを使ったひじきれんこん煮などを次々と作りました。
実習後には試食があり、参加者らは、「野菜の種類が多い。わが家でも工夫して野菜を増やしたい」「低カロリーなのに意外と量が多く、満腹感があっていい」と口をそろえ、「学んだことを早速、生かしたい」と脱メタボに向けた実践に意欲満々の様子でした。
657kcalのメニュー。ごはん、鶏むね肉の南蛮漬け、ねぎとひじきの炒め物、けんちん汁、レモンゼリー
724kcalのメニュー。胚芽ごはん、豆腐ステーキ、キャベツと大葉のおかか和え、なめこのみぞれ椀、かぼちゃのミニコロッケ
668kcalの理想的な1食メニュー。炊き込みごはん、鮭のホイル焼き、ひじきれんこん煮、さつまいものレモン煮、沢煮椀
講師:
小林 淳二
(こばやし・じゅんじ)氏(金沢大学大学院医学系研究科特任教授)
食習慣の改善が重要 深夜のまとめ食いは禁物
「メタボリックシンドロームの実態とその予防」
動脈硬化の原因は 内臓脂肪
厚生労働省の人口動態調査によると、近年、日本人の死亡原因の二位が心疾患、三位は脳血管疾患となっており、特に心疾患は一九九五年以降、増加傾向にあります。
心疾患の代表的な病例として挙げられるのは心筋梗塞、脳血管疾患では脳梗塞があり、メタボリック症候群はそうした病気への注意を喚起する「黄色信号」となるものです。
メタボは、男性なら腹囲八五センチ以上、女性なら腹囲九〇センチ以上の内臓脂肪肥満を前提として、高血圧、脂質異常、高血糖の三つのうち二つ以上に該当する状態です。心筋梗塞、脳梗塞につながる動脈硬化が進行することから、メタボの概念が確立される以前から、「シンドロームX」「死の四重奏」「内臓脂肪症候群」などと呼ばれ、医師の間でその危険性は深く認識されていました。
内臓脂肪がメタボ判定の第一前提となるのは、その蓄積が血圧、血中脂肪、血糖に大きく影響するからです。内臓脂肪の蓄積によって、体内ではアディポサイトカインと呼ばれるホルモンの分泌に変化があります。
通常、脂肪細胞は、動脈硬化を予防・改善する善玉アディポサイトカインのアディポネクチンと、高血圧や高脂血症、糖尿病の要因となる悪玉アディポサイトカインの双方を分泌しており、標準体重では善玉のアディポネクチンの方が、多く分泌されています。しかし、内臓脂肪が増えると、アディポネクチンが減少し、悪玉アディポサイトカインの分泌が増加します。そして、高血圧、高脂血症、糖尿病のリスクを大きくしていきます。
これら三つの病気は動脈硬化を促進します。そして、動脈硬化が深刻化すれば、その先に心筋梗塞、脳梗塞という死に至る病が待っているのです。
メタボの特定健診は、これら動脈硬化性疾患を予防するため、二〇〇八年四月に始まりました。その前年に金沢市が四十歳以上の成人を対象に実施した健診では、メタボの基準に該当した人は、男性で18・6%、女性で5・9%でした。男性の五人に一人、女性の五十人に三人がメタボというのが現況です。
「一石三鳥」のウオーキング
メタボは、動脈硬化性疾患だけでなく、睡眠時無呼吸症候群や慢性腎炎のリスクを大きくすることも分かっており、その予防と改善は、皆さんの健康を維持する上で、大変重要です。
内臓脂肪の蓄積は、運動不足、過剰栄養、喫煙、飲酒、ストレスの五大生活習慣に起因します。さらに、加齢、遺伝、閉経も内臓脂肪蓄積の要因となっています。
内臓脂肪は、よく普通預金に例えられます。それは、内臓脂肪が皮下脂肪に比べて、たまりやすく落ちやすいからです。「一に運動、二に食事、しっかり禁煙、最後に薬」と厚生労働省が設けた標語の筆頭にあるように、脱メタボには運動、特にウオーキングに高い効果が期待できます。
金沢市内の企業勤めの中年男性四十四人に歩数計の着用を指導した実験結果によると、五十日間のウオーキングの継続で、血圧と血中脂肪の値が目に見えて改善しました。歩数は一日平均八千二百十一歩です。血糖値も若干ですが減少しました。ウオーキングは、まさに「一石三鳥」の脱メタボ法と言えるのです。
脱メタボの取り組みでは、運動療法プラス食事療法がベースとなります。しかし、夜型の不規則な食生活を送る人が多いため、食事の中身を検討する前に、食習慣の改善がまず必要です。最も悪いのは「夕食は深夜。昼食から時間が空くのでまとめ食い。朝は胃がもたれコーヒーだけ。昼はジャンクフード」の循環です。
仕事などで夕飯が深夜になるのなら、夜七時くらいに一度軽食を取り、その後の夕飯も軽く済ませる方が良いでしょう。そして、朝食をしっかり取ることが大切です。
このほか、たばこを吸われる人は禁煙にも取り組んでください。たばこもメタボの原因です。さらに、がんや糖尿病のリスクも増大させますから、禁煙を実践することで健康面でたくさんのメリットが得られます。
記録付けが意識を高める
脱メタボの取り組みでは、記録を付けることをお勧めします。歩数計を使うと、歩数をためるという意識が身に付きます。まずは、十分で千歩程度のウオーキングを一日三回実践することから始めてみてください。理想は一日、一万歩です。同じように、食べたもの、体重、ウエスト回りの記録付けも生活習慣への意識を変えてくれます。
二十四時間いつでも食事ができ、移動も楽な現代社会では、意志がよほど強くないと、生活習慣を改善するのは難しいと言わざるを得ません。そこで、脱メタボを応援してくれるサポーターを周囲に作ることが改善の力になります。
メタボが招く病気は、自分だけでなく家族にも大変苦しい思いをさせます。そうならないためにも、ぜひ早いうちから生活習慣を改めてください。
質疑応答
Q 話題のバナナダイエットは、メタボ解消にも効果があるか。
A バナナは栄養面で優れた食品だが、複数の食品をバランス良く食べることこそが健康にとって重要であり、偏るのは悪い食習慣と言わざるをえない。必要な栄養を取らなければ体重は確かに落ちるが、それは病的にやせただけ。
Q アディポネクチンを手軽に摂取できるサプリメントはないか。
A サプリメントで栄養を直接摂取しても効果は期待できない。人間の体は食物から栄養を吸収するようにできており、三度の食事からバランス良く栄養を取ることが大切。
Q 体力的な問題で運動が困難な場合、メタボ解消や予防にどんな取り組み方が適当か。
A 運動が最も効果的だが、代替する方法はある。運動が困難であれば食事療法を中心に。
Q 食前に運動をすると余計におなかがすき、食べる量も増える。どんなタイミングでの運動が効果的か。
A 一般に食後の運動が筋肉や骨に良いとされている。それから、糖尿病の人は空腹時の運動は厳禁。
実 習2 脱メタボ運動に挑戦しよう
いすを使って手軽に運動
運動実習では、金沢学院大学経営情報学部スポーツビジネス学科の井箟敬教授と板倉美紀教務助手が、家庭や職場で気軽にできる、筋力アップの運動法やウオーキングを指導しました。
筋肉量の増加は基礎代謝を上げ、日常生活の中でのエネルギー消費量を底上げします。また、ウオーキングは内臓脂肪を減らす有酸素運動で、脱メタボの効果が期待できます。
まず、実習前に参加者全員が同大学のフィットネスルームで、体組成チェックを受けました。体脂肪率や脂肪の量、筋肉量などを体組成計で測定し、参加者は現状の自分の体型や基礎代謝量を把握しました。
続いて体育館に場所を移し、運動実習に。参加者は用意されたいすを使って、おなかや腰、足の筋肉を鍛える十二の簡単な筋トレ法を学びました。金沢学院大学柔道部の部員にサポートしてもらいながらの「つま先立ち」や「かかとの上げ下げ」「ひざの引き寄せ」などです。
電車などでの通勤途中や会社での勤務中、自宅でくつろぎながらできる運動法を体験し、「短い時間ででき、すごく簡単」「老化防止にもよさそう」といった声が聞こえてきました。
ウオーキングに爽快感
ウオーキングでは、板倉教務助手が理想的な歩き方の見本を示しながら、「背筋を伸ばして、目線はまっすぐ。かかとから着地し、つま先で足を抜くように。片方の足は必ず地面に着いているようにしないとひざに負担がかかる」と注意し、参加者全員が体育館内をウオーキングしました。
軽く汗を流した参加者らは、「歩くのは気持ちいい」「筋トレとウオーキングの両方を実践して、健康維持に努めたい」と話していました
ひざの引き寄せ。自宅でテレビを見ながらできる。背筋を伸ばすのがポイント
参加者全員で体育館内をウオーキング。肩に力を入れず、リズミカルに腕を振る
ごろりと横になって片方の足を上げ下げし、腹筋を鍛える。5〜10回行ったら体の向きを変え、反対側の足を上げ下げする
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