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医療記事特集
びっくり食べ物話

白インゲン豆の教訓 ダイエットは地道に
北國新聞(朝刊)2006年07月24日付

 テレビの健康情報番組で紹介された白インゲン豆を使うダイエット法をまねた視聴者の中から、嘔吐(おうと)や下痢などに見舞われる人が続出した。被害者は全国各地に広がり、入院者もいたらしい。

煮豆なら安全

 番組では白インゲン豆を三分程度炒(い)ったものを粉末化して使用すると説明しており、「豆は生で食べるとおなかをこわす恐れがある」などと注意はしている。

 豆類は生で食べられるものはほとんどない。豆に限らず、植物の種子には毒が含まれているものが多いのだ。種子を食べられてしまったら子孫を残すことができなくなるので、鳥や昆虫などに食べられないよう防衛するわけである。魚や貝の中などにも産卵期に毒を持つものが多いが、それと同じ理屈だろう。

 白インゲン豆の嘔吐や下痢の原因になったのは、「レクチン」と呼ばれる糖結合たんぱく質などの物質と考えられる。この物質の働きは、加熱により低下・消失する。厚労省は急きょ、ホームページを使って、インゲン豆は「水に十分浸してから、沸騰状態で軟らかくなるまで十分に煮る」という通常の調理法を行えば、食品安全上まったく問題はないと告知している。

 奄美大島名産のソテツの実なども猛毒を持っている。これに対して人々は、ソテツの実を水にさらすことによって無毒化する方法を編み出したのである。近ごろソテツの実には抗がん作用のある成分が非常に多く含まれていることがわかってきたという。人間は食べられなかったものを食べられるようにして、さらにはそれに薬理作用まで見つけてしまうのである。

冒険するよりも

 それでも、白インゲン豆やソテツの実を食用にするまでには、おびただしい試行錯誤と犠牲者を要したことだろう。白インゲン豆事件は、ダイエットをするためにはまだ確立されていない新しい冒険を試みるより、カロリーコントロールなどの王道に立ち返ることこそ大切である、と示してくれたのではないだろうか。(林義人、医療ジャーナリスト=小松市出身)



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