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医療記事特集
びっくり食べ物話

とりあえずビール がん抑制効果に期待
北國新聞(朝刊)2006年08月07日付

 ある外国人が、日本に「とりあえずビール」という銘柄があると勘違いしたほど、多くの日本人の食事はこの言葉で始まる。

活性酸素抑える

 米オレゴン州立大学の研究チームは、このほどビールの苦味成分であるホップに含まれる「キサントフモール」という化学物質に、前立腺がんの予防効果があるとの研究成果を発表した。この物質には、有害な活性酸素を抑える作用があるとされる。ただし、この研究で報告された効果を満たすキサントフモールを摂取するには、一日十七本以上ものビールを飲む必要があるのだそうだ。ビールを毎日十七本も飲めば、アルコール依存症や肝硬変の危険のほうが上回ってしまう。そこでキサントフモールを抽出した錠剤や効果を強化したビールの開発が検討されているという。

 岡山大学薬学部の有元佐賀恵助教授らは、十年ほど前から、サルモネラ菌を使った実験でビールにがんを予防する効果があるらしいことを報告してきた。発がん物質がサルモネラ菌に突然変異を引き起こすことを、がんになりやすさの目安にしている。こげた肉などに含まれる発がん性物質を与え、ここにビールを加えると、突然変異は半分になったという。有効成分の一つは核酸化合物の一種、「シュードウリジン」という物質で、ほかに六種類ほどあることが分かった。こちらの実験からは、ビールにがんを抑える効果を期待するには、一日缶ビール一本程度飲めばいいらしい。

ヒポクラテスも

 西洋医学の祖、古代ギリシアの医師ヒポクラテスは、炒(い)ったビール酵母を婦人病の治療に使っていた。ビールの薬効追求には長い歴史がある。

 日本にがんが少なく、世界一の長寿国である理由は「とりあえずビール」の習慣によるものだろうか。しかし、ビールの本場として知られるドイツの一人当たりのビール消費量は約百四十リットル。日本人は約五十リットルだから、ドイツ人の三分の一くらいだ。ビールの抗がん効果は、たくさん飲むほど高くなるというわけではないのだ。(林義人、医療ジャーナリスト=小松市出身)



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