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医療記事特集
びっくり食べ物話

アルツハイマー 「原因説」証拠なし
北國新聞(朝刊)2006年08月21日付

 アウトドア・レジャーには安価で軽くて丈夫なアルミニウム食器が重宝する。ところが、いざバーベキューの開始という段になって、「アルミはアルツハイマーの原因になるそうだ」などと発言する人物が現れたりする。

ウサギに”変異”

 アルミニウム原因説の初登場は、今から四十年ほど前のこと。ウサギにアルミニウムを注射すると、アルツハイマーの脳に現れる変異のようなものがみられた、と報告された。本物のアルツハイマーの変異はタウたんぱくというたんぱくの繊維でできている。が、後に電子顕微鏡ができてウサギの変異を調べたら、タウたんぱくとは別の物質でできていることがわかった。アルツハイマー病で脳に現れる変化とは違うものだったのである。

 三十年ほど前にもアルミ原因説が浮上した。当時は人工透析を行う時に透析膜でアルミを取り除くことができず、だんだん体の中にアルミがたまっていき、透析脳症という障害が起こった。ここから「アルミニウムは毒だ」と言われたようだ。が、アルツハイマーは透析脳症とはまったく違う病気であり、ここにも誤解があったことになる。

 しかしその後も度々「アルミニウムはアルツハイマーの原因になるので危ない」という話が繰り返されてきた。今もこの説を固く信じている人が少なくない。

 アルミニウムは地球上にいちばん多く存在する金属で、食器や鍋がアルミ製でなくても、われわれは水や食物を通じて常に口にしている。特に日本人がよく食べる貝類や海藻類にはアルミニウム含有量が多い。しかし、逆に日本人はアルツハイマーの発症が少ない民族といわれているのだ。

99%以上体外へ

 食物中から摂取されるアルミニウムは99%以上がふん便として体外へ排せつされる。アルミがアルツハイマー病の原因となるような証拠はなく、それどころかアルミが脳に届く心配もほとんどない。アルミニウム原因説が度々浮上するのは、「○○が危ない」といった話を日本の国民が好むからではないか。(林義人、医療ジャーナリスト=小松市出身)



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