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新米 酵素がもたらす甘みと香り |
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北國新聞(朝刊)2006年10月02日付 |
「新米がおいしくて、おいしくて…」
秋になると、こんな会話が聞かれる。新米は香りもツヤも甘みも違う。つい食べ過ぎになる。とはいえ、かつての日本人に比べれば、われわれの米の消費は本当に少なくなった。大正時代の日本人などは、一人が一日に平均で八膳(ぜん)のご飯を食べたそうだが、今では平均二膳半に過ぎない。が、大正時代に現在のように肥満の問題がまん延していたわけではない。ある医療専門家は、一日に食べるご飯を四〜五膳くらいにすると、自然に脂肪のとり過ぎがなくなる結果、むしろ肥満は減るという説を打ち出している。
じつは私たちの先輩が何杯もお代りしていた時代の米は、現在人気の主流となっているモチッとして甘みのあるコシヒカリタイプではなかった。もっとうるち米本来のあっさりした味わいのもので、それゆえたくさん食べることができたともいえそうだ。対するコシヒカリタイプは、うるち米にもち米の風味が色濃く反映しており、口当たりはいいものの、どうも一度にあまりたくさん食べるのには向かないらしい。
いずれにしても新米のシーズンには、「ご飯はこんなにおいしかったのだ」と再確認できる。収穫から間もない米特有の甘みと香りは、酵素によってもたらされるものだ。新米をとぐときにあまりゴシゴシやると、この酵素を逃してせっかくの風味を損なうことになるのでやわらかく扱いたい。一般的に新米は水分を多く含むので、炊飯の水加減は古米より一〜二割減らすとよい。
もちろん新米とはいえ、買って二カ月もたてばすっかり古米に変身してしまう。逆に新米のシーズンを過ぎても、きちんと保管された精米し立ての米を少量ずつ購入して、寒い時期でも一カ月以内、暑い時期なら二週間以内に使うというふうにすれば、年中おいしいご飯を味わうことができる。「肉が大好き」という肥満の人は、新米シーズンをきっかけにご飯党になってみてはいかがだろうか。
(林義人、医療ジャーナリスト=小松市出身)
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