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お焦げとがん 日に100トン食べれば… |
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北國新聞(朝刊)2006年10月30日付 |
「お焦げはがんの原因になるらしい」
焼肉料理やバーベキューを楽しんでいる最中に、こんなマの悪い話を始める者がいる。「魚や肉の焦げた部分を食べ続けているとがんになりやすい」という話はすっかり定説となっているようだ。
国立がんセンターの「がんを防ぐための十二カ条」には、第八カ条に「焦げた部分は避ける―突然変異を引き起こす」という項目が確かにある。発がんは細胞に突然変異が起こることが引き金になることも確かに科学的に認められている。「お焦げは体に悪い」を主張する人は、「十二カ条」を信じているのだろう。
もともとお焦げでがんになるというのは、ネズミに焦げた肉や魚を食べさせる動物実験から導かれた話。この実験でネズミに与えたお焦げの量を人間に換算すると、何と四トントラック一杯分にもなるという。焦げた部分が大好きな人でも、こんなにたくさんのお焦げは食べられない。
しかし、お焦げと発がんの関係を一生のテーマとして研究している学者にとっては、動物実験で得られた事実も絶対的なものとなるはずだ。「なんとか、十二カ条の中にお焦げの問題も入れて欲しい」と要請したのかもしれない。
世の中には、「専門家の言うことだから信用できる」という考え方がある。が一方、専門家の言うことだからこそ眉(まゆ)につばをつけて検証しなければならないこともある。ちまたにあふれる「この食品はがんを抑える」という話も、大半はきわめて根拠薄弱だ。
実は肉や魚ばかりでなく、ご飯を炊いた時にできるお焦げの中にも、発がん物質が見つかっている。が、国立がんセンターの計算ではこのお焦げでがんになるためには、一日に百トンを一年間食べ続けなければならない計算だそうだ。
中国四川料理の人気メニューの一つに「お焦げご飯」がある。楽しく中国料理の食事をしている時に「これはがんのもとだ」などと言い出す人がいないようにしてもらいたいものだ。(林義人、医療ジャーナリスト=小松市出身)
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