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医療記事特集
びっくり食べ物話

フィンランド人の教え 楽しみと節制、バランスよく
北國新聞(朝刊)2006年11月06日付

 職場検診などの結果、「コレステロールが高め」と言われて深刻に悩んでいる人が少なくない。が、一方で「コレステロールの高めは病気でない」という意見も根強くある。

 かつてフィンランド症候群という現象が報告された。フィンランドでは、日本と同じように高コレステロールの人の増加が問題になっており、アルコール依存症患者なども多かった。で、この国の保健当局が四十歳から四十五歳の血圧やコレステロール値の高かった男性上級管理職の約千二百人を対象とする実験調査を行ったのである。一方は、酒もたばこも制限して、コレステロール値をコントロールする投薬を五年間行う六百人のグループを設けた。もう一方は、生活に何の制限もせず、投薬もしない六百人のグループを作り、両者を十五年間観察してみたのである。その結果、後者のほうが前者よりも死亡率が低くなってしまったという。心臓血管系の病気、高血圧、がん、自殺など、いずれについても後者の数が少なかったのだそうだ。

 この調査結果についてはさまざまな解釈がある。そもそもコレステロールは体に重要な働きをするものであり、その摂取をコントロールすることが体の発育や生命の維持に悪影響を及ぼしてしまうという考え方がある。大腸菌O―157騒動のとき、死亡者は小児と老人に集中したが、これは彼らがベロ毒素を中和する血中コレステロールや中性脂肪が少ないためだともされる。コレステロールは細胞中にも含まれていて、小腸からの脂質の吸収を助けたり、性ホルモンや副腎皮質ホルモンともなるといわれる。

 ともかく中高年者が「コレステロールが高めです」といわれても、それほどあわてる必要がないことだけは確かなようだ。とはいえ、健康のための節制など不必要だ、という乱暴な議論は成り立つはずもない。ただ、フィンランドの人たちは、「もう少し楽しんでも罰はあたりませんよ」と教えてくれたような気がするのだ。(林義人、医療ジャーナリスト=小松市出身)



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