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医療記事特集
びっくり食べ物話

つきたての餅 小さく切って調理を
北國新聞(朝刊)2006年12月25日付

 暮れになると、街のあちらこちらでペッタン、ペッタンと餅(もち)つきの音がした…などという日本人はもはや少数派になったのだろうか。餅は正月だけの食べ物でもなくなり、餅つきは冬の風物詩でもなくなっている。

 餅の長い歴史で大革命といえるのは、近年のパック入り餅の登場だろう。一年中スーパーで餅を買うことができるようになり、「餅は餅屋」ではなくなった。餅のカビには発がん物質も含まれているが、パック入り餅は湿気の多い季節や暑い時期も乗りきり、一年やそこらは保存できる。「長期保存」と聞くと添加物を気にする人も少なくないが、餅自体に何らかの加工が施されているわけではない。工場全体を無菌に保ちながら製造、包装する技術によって、この商品が生まれたのだそうだ。

 が、餅好きが最もうれしいのはなんと言ってもつきたての餅である。その意味ではとりわけこの時期、おいしい餅にありつける可能性が高くなる。

 一方、毎年正月になると必ずニュースになるのが、お年寄りが餅をのどに詰まらせて亡くなるという事故だ。高齢になると、飲み込む力が弱っているので、のどの下咽頭(いんとう)という部分に引っ掛けやすい。ここは食物も空気も通過する部位である。軟らかい餅はどんな形にもなり得るので、ここをぴったりふさぐと窒息させてしまう。

 予防法は別に難しいことではなく、餅を小さくして調理するだけのことである。お年寄りにはカレースプーンすりきり一杯程度の大きさがよいといわれるが、個人差があってそれより小さくてものどに詰まらせることがある。応急処置は指を口の中に入れ嘔吐(おうと)反射を誘って吐き出させることだ。

 餅は消化がいいが、意外と高カロリーだ。小さなマッチ箱程度の大きさで、ご飯一杯分のカロリーがある。昔から「正月太り」と言われるが、餅の食べすぎが一因だったかもしれない。餅好きにはとりわけ悩ましい時期でもある。(林義人、医療ジャーナリスト=小松市出身)



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