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おいしさ ダシのうまみ見直して |
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北國新聞(朝刊)2007年02月12日付 |
食べ物を「おいしい」と感じるケースは三つある。「あれを食べたい」と思ったタイミングでその食べ物を得た場合、日ごろ慣れ親しんだ味に出会った場合、「あれはおいしい」という情報の食べ物に出会った場合といわれる。
おいしさを作り出す成分は科学的にもわかっていて、これも三つある。一つは獣肉の脂肪成分であり、一つは甘味成分、もう一つはうまみ成分だ。
人間は肉を本能的に「おいしい」と感じるようにできているため、食べ物を自由に選択できる環境にあれば、つい肉食に走る。甘いものも本能的に求めているので、近くにあればつい手が伸びてしまう。だから、子どもは求めるままのものを食べさせておくと、ハンバーガーやフライドチキン、甘い飲料水にとりつかれてしまうことになる。
日本人が肉や甘いものをふんだんに食べることができるようになったのはここ数十年のことだ。日本の歴史が数千年とすれば、人々はその99%以上を肉や甘さとは縁遠い生活で過ごしてきたことになる。現在の食生活では、そんなふうに長い長い年月にわたって培われ、われわれが受け継いでいる体質が無視されるようになった。で、動脈硬化や糖尿病、高血圧、肥満などの生活習慣病が多発している。
一方、日本では伝統的に、肉や甘さではないもう一つのおいしさが尊重されてきた。昆布やかつおぶし、煮干し、干ししいたけなどのダシのうまみである。最近の子どもたちが肉や甘味のおいしさに向かいがちなのは、こうしたダシを生かした「家庭の味」や「おふくろの味」がおろそかにされているからではないかと見ることもできる。
ダシよりも前に、肉や甘さを「おいしい」と感じるようになってしまうと、なかなかダシのおいしさではこれらに打ち勝てなくなってしまうようだ。日本のお母さんは、子どもの将来の健康を考えるなら、今日の食卓のみそ汁や煮物のダシ取りをもう一度真剣に考える必要がある。(林義人、医療ジャーナリスト=小松市出身)
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