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医療記事特集
びっくり食べ物話

饅頭(まんじゅう)と煎餅(せんべい) 「不都合な真実」直視を
北國新聞(朝刊)2007年03月19日付

「甘いものはいけないと言われたので、饅頭(まんじゅう)はやめたよ」

 そう言って煎餅(せんべい)をかじっている糖尿病患者がいる。医師は「間食をやめなさい」と言ったのに、それを「甘いものをやめなさい」というふうに曲解しているのだろう。

 煎餅も饅頭も同じ糖質である。煎餅の糖質はご飯などに含まれるのと同じデンプンだ。デンプンは複合糖質ともいい、胃に入って消化、分解されてブドウ糖になり、小腸から吸収されてゆっくり血糖値を高める。これに対し饅頭に多く含まれる砂糖は、果物の果糖などと同様に単純糖質といい、すぐにブドウ糖に変わるので消化吸収が早く、血糖値を急に高めてしまう。

 糖尿病は、ブドウ糖をエネルギーに変えたり蓄えておく役割をするインスリンがうまく働かなくなる結果、血液中の糖分が異常に高くなる病気だ。単純糖質の饅頭を何個も食べたりすれば、急激に血糖値が上がって大きな負担となるし、血糖を処理しようとインスリンが大量動員されて、今度はいっきに低血糖という発作を招いたりする。

 その点煎餅なら饅頭より低血糖にはなりにくいだろう。が、煎餅はあとを引きやすい。結果的に饅頭よりたくさん糖質をとってしまうことにもなりかねない。さらに、煎餅は塩分のとり過ぎになる恐れもある。過剰な塩分は高血圧、動脈硬化と糖尿病の合併症の進行を加速させる。糖尿病の人に「饅頭はだめで、煎餅ならいい」とはけっしていえない。お酒が好きな人は、「長寿者は酒飲みが多い」「ワインにはポリフェノールが」と理屈をこねる。糖尿病の人の「煎餅なら食べてもいい」という主張も、似たようなものがある。

 環境問題をテーマにしたアル・ゴア元米副大統領原作の「不都合な真実」という映画が話題になっている。経済成長のために温暖化ガスの排出に目を背けていると、いつか人類破滅の日がやってくる。食生活の上でも不都合な真実を直視しなければ、生活習慣病で破綻(はたん)を招くことになる。 (林義人、医療ジャーナリスト=小松市出身)



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