|
|
 |
がん闘病食 消化いいものバランスよく |
|
北國新聞(朝刊)2007年03月26日付 |
がんの原因の三分の一は食べ物だといわれている。一九八一年に英国の疫学研究者が、数多くの科学論文のデータをまとめた結果、「食生活の改善によりがん死亡の割合を35%くらい予防できる」と発表した。そして現在私たちの日常では、「○○を食べるとがんを予防できる」といった話を聞かない日がない。
一方、がんと診断された人の多くは「自分は何を食べたからこうなったのか」と考える。そして、「何を食べればがんが治るのか」と、探し回ったりする。
がんは遺伝子の変異でできる。遺伝子は体の細胞に命令を出すコンピュータのプログラムのようなものである。プログラムが狂っているとコンピュータが暴走し始めるように、変異した遺伝子の命令を受けたがん細胞も暴走し始める。遺伝子変異の三分の一は食べ物によってもたらされるといえるわけだ。
以前はこうした細胞のがん化は、三〜四万ほどある遺伝子のたった一つに狂いができるだけで始まると考えられていた。ところが、最近はそうではなく、数千の遺伝子が変異してがん細胞が誕生することがわかってきた。どんな食べ物がその変異を促したり、予防したりするというのは雲をつかむような話となる。
いまや日本人の二人に一人ががんにかかり、三人に一人ががんで死ぬ時代だ。がんは糖尿病や高血圧のようにありふれた病気なのである。普通の食生活をしている人が普通にがんにかかるのだから、特定の食べ物によってがんになったり、がんを防いだりできるという話はじつにむなしい。
がん医療で定評のある静岡県立がんセンターが、ホームページの中に「がんよろず相談Q&A」というコーナーを作った(http://www.scchr.jp/)。患者はさまざまな悩みをこのコーナーに寄せているが、やはり「何を食べればいいのか」という内容のものが少なくないようだ。がん患者もまた食事で気をつけることは、「消化のいいものを栄養バランスよく」ということに尽きるのだが。(林義人、医療ジャーナリスト=小松市出身)
|
|