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医療記事特集
がん最前線

〔有明病院に見る理想の治療〕 病院選びも寿命のうち 医局なくしたチーム医療
北國新聞(朝刊)2006年07月31日付

 もしあなたががんと宣告されたなら、病院選びに頭を悩ますことだろう。全国どの病院でもがんに対して同じ水準の治療を受けられるわけではない現状では、病院選びも寿命のうちとなるからだ。

 残念ながら現在、北陸にはがん専門病院はない。金大は八月、がん高度先進治療センターをつくり、それぞれの患者が最適な治療を受けられるように目配りしていくことになるというので心強い。

PHSで呼び出し

 理想的ながん専門病院を実現するためには、患者の身になって考えたこまやかな工夫が必要になる。その一端を東京の癌研有明(がんけんありあけ)病院で見たので紹介する。

 癌研有明病院は七十年の歴史を持つ、日本の代表的ながん専門病院である。昨春、改装し新たなスタートを切った。昭和天皇の手術にも立ち会ったことでも知られる院長の武藤徹一郎博士とは、二十年来のつき合いになる。彼の案内で院内を回った。

 病院内のそこここに患者を不安にさせない工夫が凝らされている。

 患者の呼び出しはPHSで行われる。最初のコールで中の待合室へ、二度目のコールで診察室へ入る。だから診察室の前でじっと座っていらいらしながら待たなくてもよいし、大きな声で名前を呼ばれることもないため、安心して待っていられる。

 診察室の前の廊下を職員や医療スタッフが走って歩く姿はない。患者に無用な心理的な圧迫を与えないために、スタッフは診察室の後ろに設けられた細い廊下を通って移動するのだ。

 医療に携わる者としてうらやましく感じたのは、診療科の枠組みを外して専門医がそれぞれの立場から患者一人ひとりのがんに立ち向かっていることだった。

 外来も病棟も、内科、外科の区別がなく、消化器病センター、呼吸器センター、レディースセンター(乳腺科、婦人科)、癌外来化学療法センターとなっていた。縦割りの各医局は撤廃し、仕切のない広い医局一つに病院全体の医師が集まっている。

 電子カルテを導入し、各科のドクター、病理医、放射線や化学療法の専門医などが、患者一人ひとりに対して総合的に治療するチーム医療が実施されている。

人間性重んじる

 私が病院を出るとき、一階では小中学生の合唱団による演奏会が行われており、入院患者の心を慰めていた。

 人間性を重んじてプロが集まり、最先端治療を行う。そんながん専門病院が北陸にもいつかできると信じている。(まい・まさよし、映寿会みらい病院名誉院長、金大名誉教授=金沢市)



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