top 応急手当Q&A 休日当番医 健康チェック リンク集 お問い合わせ
北國健康生きがい支援機構
トップページ > 医療記事特集

医療記事特集
がん最前線

〔膵がんの治療〕 切除が命救う第一歩 鎮痛剤よりも家族の手
北國新聞(朝刊)2006年09月25日付

 膵(すい)がんの治療には、手術療法、抗がん剤療法、放射線療法がある。中心は手術で、膵がんを的確に切除することが命を救う一歩となる。

 しかし、切除するといっても膵臓の周りには大切な血管や神経が走っており、手術自体が難しいことが多い。その難問が近年、いくつか解消されてきた。

金大で新切除法

 門脈まで広がった膵がんは切除不可能だったが、最近では門脈も同時に切除できるようになった。

 膵臓の背側を貫くように出ている上腸間膜動脈という血管にまで浸潤した膵がんの切除も難しかったが、太田哲生金大教授が上腸間膜動脈一括切除術を開発した。

 この血管は、おなかの中の大半の腸管に栄養と酸素を送る、なくてはならない動脈である。そのため、がんに侵された部分を切除し、そこに患者自身のふとももの血管を移植して補うという方法を太田教授は編み出したのである。

 膵臓の頭部にがんができると、大手術となる。膵頭部とともに胃・十二指腸、胆嚢(たんのう)、胆管を切除し、小腸の上部と、残った胃、胆管、膵臓をつなぐ。八時間から十時間はかかる大手術だが、昔よりも安全にできるようになった。

 また、腹腔内の内臓を支配している腹腔神経叢(そう)が膵臓の後ろ側にある。膵がんが進行すると神経叢を侵し、背中の激痛の原因となる。

切れない神経叢

 しかし、がんと一緒に神経叢を切除すると腸管が機能しなくなり、非常に激しい下痢を起こす。手術でがんを切除できても、その後の生活に大きな障害を来たすので、神経叢には手をつけられない。

 膵がんの切除率は施設によっても異なるが、約40%だ。以前と比べると大幅に向上したが、切除後の一年生存率は50%、五年生存率は10%にも達していない。まだまだ研究を重ね、新たな治療法を考えなければならないという厳しい現実がある。

 こうした難物の膵がんではあるが、家族にできる治療もあることを知ってほしい。

 膵がん細胞は好んで神経を侵すため、激しい痛みで患者を苦しめる。そのため医療側でも積極的な緩和療法をとるが、鎮痛剤を投与するよりも、親しい家族の、優しい心のこもった手で痛いところをさすってあげるほうがはるかに効果があることを、長年患者と接して実感している。(まい・まさよし、映寿会みらい病院名誉院長、金大名誉教授=金沢市)



Copyright (C); THE HOKKOKU SHIMBUN All Rights Reserved.
〒920-8588 石川県金沢市南町2番1号 北國新聞社広報課 Maill : ikigai@hokkoku.co.jp