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医療記事特集
がん最前線

〔切除できない膵がん〕 抗がん剤で休眠療法 個人差大きい「適量」
北國新聞(朝刊)2006年10月02日付

 膵(すい)がんは、がんの中でも悪性度が高く、神経まで侵し、頑固な痛みが続く。腹痛が続くと、食欲不振になって著しくやせる。膵がんは患者を精神的、肉体的に消耗させるため、ときには性格までゆがめてしまう。

化学療法に期待

 切除不能の進行がんに対しては、化学療法、放射線治療、免疫療法などが行われる。その中で抗がん剤の塩酸ゲムシタビン(商品名ジェムザール)が期待を集めている。

 ジェムザールは、厚生労働省が膵がん治療薬、非小細胞肺がん治療薬として承認した薬であり、今年、日本で胆道がんの治療薬としても承認された。

 また本年より、S1(エスワン)が認可された。

 しかし医学論文やアメリカがん学会での発表をみるとジェムザール単独ではなく、ジェムザールとイリノテカンを組み合わせる方法、あるいはそれらに白金製剤を加える方法、あるいはジェムザールと5FUとロイコボリンを組み合わせる方法が効果をあげていることが分かる。私は、ジェムザールとイリノテカンを第一選択としているが、イリノテカンは日本では認可されていない。

 ジェムザールは、膵がんに対して画期的な抗がん剤であるが、日本で定められている量を投与すると、白血球が減少するという副作用が起きるため、抗がん剤治療を断念した人も少なくない。

まず通常の半量を

 金大がん研究所の高橋豊助教授は、膵がんにおけるジェムザールの個別化治療を提唱し、著書の中で紹介している。高橋助教授は通常投与の半分量に当たる五百ミリグラムから投与を始め、副作用が軽微であれば二回目から増量し、一方では副作用が強ければ減量した。三回目移行も同じように増減を繰り返した。

 ジェムザールの適量には大きな個人差がある。個人差を考慮し治療すればより長く投与できるようになり腫瘍(しゅよう)をより縮小できる。結果として生存期間の延長も期待できる。

 私も、ジェムザールを使った休眠療法により、切除不能な膵がん患者の腫瘍を小さくし、生存期間を伸ばした症例を経験している。

 今はまだ、難治がんの代表である膵がんだが、絶望的なわけではない。治療や看護に携わる医療スタッフは、がんの根本的な治療、病状の改善、痛みの緩和に全力をあげ、この難病と闘っている。(まい・まさよし、映寿会みらい病院名誉院長、金大名誉教授=金沢市)



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