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〔集学的治療〕 必要な「文殊の知恵」 チームが生み出す最善策 |
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北國新聞(朝刊)2006年10月09日付 |
がんには、固形のがんと血液のがん(造血器腫瘍)とがある。
胃がんや肺がんに代表される固形がんの治療の主役は、外科的切除である。ただ、既に肝臓や骨に転移していると、メスでの治療には限界がある。化学療法も効きにくい。
同じ固形がんでも、乳がん、子宮がん、食道がんなどいくつかの臓器のがんでは放射線治療の有効性が証明されており、メスの届かない部位の治療も安全に行える。
●迷いをなくす
言葉にすれば簡単なように思えるかもしれない。しかし、実際には、患者が初めに外科医を訪れた場合は、外科切除が優先される傾向がある。そしてその外科医が、時として放射線治療や化学療法の治療成績がよいことを知らないこともある。
担当医が幅広い知識を持っていても、進行したがんを治療するに当たり、手術を中心として治療すべきか、化学療法あるいは放射線治療を優先させるべきか、迷うことは少なくない。
この迷いの中で、最も的確な治療法を導き出す方法として、今、「集学的治療」の必要性が叫ばれている。
集学的治療とは、外科医、放射線科医、内科医、病理医など、各治療分野の専門家がよく話し合う。そこには、がん治療に詳しい薬剤師、看護師も参加し、それぞれの経験と治療実績を踏まえて複数の治療法を組み合わせ、いわば「文殊(もんじゅ)の知恵」で総合的にがんを治療するものである。
●術前療法に実績
実際に盛んに行われている集学的治療の代表が、術前療法だ。進行したがんの治療に当たり、まず第一段階として抗がん剤や放射線治療によって局所および転移巣をある程度まで縮小させる。その上で残ったがんを外科的に切除するという方法だ。頭頚部がん、肺がん、食道がん、胃がん、精巣のがん、骨のがんなどで大きな成果を上げている。
集学的治療とは、手術と抗がん剤、あるいは放射線照射と抗がん剤というように、二つの治療法を単に組み合わせる併用療法とは本質的に異なる。
互いの治療の長所を伸ばし、短所を補い合って、より優れた治療効果を期待するものである。
毎年、がんの患者が増えている現実を目の当たりにすると、集学的治療の必要性を強く感じる。それは私一人ではない。がん治療に携わる医師が皆、急務と感じていることなのだ。(まい・まさよし、映寿会みらい病院名誉院長、金大名誉教授=金沢市)
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