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〔日本癌学会から〕 「難治」克服は道半ば 肺、早期発見後にも課題 |
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北國新聞(朝刊)2006年10月16日付 |
先月、横浜市で開かれた第六十五回日本癌(がん)学会の総会に出席し、早期発見しても課題が残る肺がん、膵(すい)がんの最新情報を得たので紹介したい。
特別シンポジウム「臓器がん 最も困難な課題は何か」では、難治がん克服の糸口を見つけるための熱い議論が闘わされた。
まず肺がんの治療成績について内科、外科の立場から論じられた。飛躍的ながん治療の進歩にもかかわらず、肺がんの予後は極めて悪い。
外科的に切除できるのは、ステージ3期症例では15%、4期では1、2%と少ないことや、早期とされる一センチ大の肺がんでも五年生存率は62%。一センチ以下でも四十九例中三例で、リンパ節転移が見られることが紹介された。
つまり、ほかのがんであればこんなに小さいうちに見つかってよかったねと切除すればすむような状態であっても、肺がんの場合は全身病としての対応が必要だということだ。
原因は肺がんの腫瘍細胞の不均一性や耐性出現にあるようだ。放射線や抗がん剤による治療の効果が上がらないのである。
●分子標的薬に期待
その中で期待が持てるのは分子標的薬。小細胞性肺がんではイレッサという薬の効果が注目された。特に東アジア人や日本人には欧米人の約二倍の有効率があるという。
これまで欧米で否定的な結論が報告されてきた膵がんに対する拡大リンパ節郭清(かくせい)の延命効果。日本の膵臓外科医による拡大リンパ節郭清と標準手術の比較対照試験の結果、やはり拡大リンパ節郭清は延命につながらないという結論に至った。
●試験では良好
切除不能進行膵がんに対する化学療法は、塩酸ゲムシタビンという薬の登場が足がかりとなったようだ。日本で開発された薬S―1(エスワン)も試験では良好な成績をあげており、私も採用している塩酸ゲムシタビンとS―1の併用療法に期待がかかる。
日本人の二人に一人ががんになるという時代である。当然、がんに関する学会も増えたが、この日本癌学会は基礎医学者を中心に構成されている。
基礎研究は重要であるが、専門外の人には分かりにくい。そこで今回総会長を務めた垣添忠生国立がんセンター総長は「がんの罹患率と死亡率の激減を目指して」をテーマとし、基礎研究の成果を臨床に生かしたらどうなったかを全国の専門医が集まって紹介したわけだ。
確かにがん治療は進歩している。しかし多くの難治がんを克服する道のりは、いまだ遠い。まだまだ研究は必要だ。(まい・まさよし、映寿会みらい病院名誉院長、金大名誉教授=金沢市)
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