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医療記事特集
がん最前線

〔食道がんの危険因子〕 喫煙と強い酒、熱い食べ物 「つかえ」「しみる」に注意
北國新聞(朝刊)2006年10月23日付

 のどが焼けるような焼酎(しょうちゅう)を割らずにそのままのどに流し込んだ後、キムチを大盛りにしたアツアツのラーメンを一気に食べ、たばこをぷかぷかふかす。

 若い男性にとっては、今や何の不思議もない光景も、私たちがんの専門医の目から見れば、危険極まりない光景だ。

 喫煙。アルコール度数の高い酒の常用。舌がやけどしそうに熱い料理。「激辛」と表現されるほど刺激の強い料理。これらは、食道がんの発症率を高める原因となっているからだ。焼酎やキムチラーメンが悪いと言っているわけではない。食道を度を超して刺激すると、がんを招くおそれがあるということなのだ。

転移しやすい

 食道がんは、初期には自覚症状がない上に、進行が早く脳や肺、肝臓などに転移しやすい。のどぼとけの下から胃までつなぐ臓器である食道には、多数の血管とリンパ管が分布しているからだ。

 さらに、食道は、蠕動(ぜんどう)運動によって食べ物を口から胃へ運ぶ器官で、ここにがんができると、生きていく上で大きな支障を来す。

 ここ十年、技術の進歩により、早期発見の確率は高くなり、内視鏡で治せるケースも増えてきた。それでもいたずらに体を刺激し過ぎて、がんを誘発する必要はない。

 酒、たばこ、コーヒーを避けるモルモン教徒の食道がんの発生率は、アメリカ人の平均値より低い。また日本では、奈良県や和歌山県の山間部で、熱い茶粥(ちゃがゆ)とワラビなど山菜の漬物を毎日食べる人は、食べない人に比べて発生率が明らかに高い。これらを考えると、生活の中に潜む危険因子を一つ一つ避けるようにしたほうが賢明である。

 症状が分かりにくい食道がんではあるが、進行してくる「つかえ感」に悩まされることがある。水分はのどを通るが、硬いものやパンを食べたときにつかえる感じがするといったことだ。がんが更に進行すると食道は狭くなり、よくかんでもつかえ、胸が痛んだり、胸やけなどもする。

 ただ、つかえは、精神的な原因や食道憩室、食道炎、食道潰瘍などによっても起きる症状。つかえた感じがするからといって、がんだと思い込まず、診察を受けよう。

 食道がんにかかったら、酸味の強いジュースや刺激の強いものを食べたときに、胸骨(胸の中央の縦に長く触れる骨)の裏側あたりにしみる感じや、軽い痛みを感じることもある。

かかりやすい男性

 平成十五年のデータでは、日本の食道がんの死亡者数は、年間一万千四十八人。男性は女性の八倍以上多い。発症率、死亡率ともに男性のほうが高い。今からでも遅くはない。日本人男性は食習慣や喫煙の習慣を見直す価値がある。(まい・まさよし、映寿会みらい病院名誉院長、金大名誉教授=金沢市)



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