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医療記事特集
がん最前線

〔食道がんの診断〕 早期発見には内視鏡を 色素で染めて見分ける
北國新聞(朝刊)2006年10月30日付

 食道がんにかかった人の中には「とても広範囲に及ぶ大変な手術だった」という人もいれば、「内視鏡の手術ですんで、数日で退院できた」という人もいる。この差はひとえに、早期発見できたかどうかによるものだ。

毎年、定期検査を

 大きな苦痛のない治療で完全に治せる早期のうちに食道がんを発見する近道は、年一、二回の定期検査が何よりの方法である。早期の食道がんは、ほとんど症状が現れず、気付いたときには脳や肺、肝臓など重要な器官に転移し命を奪いかねないからだ。

 早期の食道がんは肉眼では分かりにくい。そのためわれわれ医師は内視鏡検査をするときにルゴール染色法と呼ばれる色素散布法を使って、がんを見分けている。

 内視鏡で食道を見ながらルゴールというヨードを含む色素を食道粘膜の病変の周囲に散布すると、正常な粘膜は黒っぽく染まるが、がんなどの病変は染まらず白く残る。正常な細胞の中にはグリコーゲン(糖分)があり、染色液のヨードに反応して茶褐色に染まるからだ。

 染まらない部分を十分に観察した後で、生検鉗子(かんし)という細い器具を使って病変部から組織片を摘み取る。その組織片を顕微鏡で観察し、がんであるかどうか最終的に診断する。

 その後、CTスキャンを使って検査し、食道と周囲の臓器との関係や食道がんが他の臓器に浸潤していないか、リンパ節転移がないかなどを調べる。

 先端に超音波振動子(プローブ)が内臓された内視鏡を食道に入れる超音波内視鏡検査を行えば、食道の壁の構造が分かるほか、がんの深さ、リンパ節へ転移しているかどうかが分かる。

 集団検診など行われているX線検査では、残念ながら早期の食道がんを見つけることは難しい。

 五十歳以上の男性、お酒をたくさん飲む人、タバコを吸う人はルゴールを使った内視鏡検査を定期的に受けることをすすめたい。

バレット食道に注意

 食道がんの発生率が三、四十倍にはね上がる病変がある。バレット食道といって胃と接する食道の粘膜が腸の細胞に変わるものだ。

 胃酸が食道に逆流することで、食道と胃の接合部が炎症を繰り返し、粘膜の細胞が変性すると考えられている。

 欧米の白人によく見られる病変で、食道腺がんにかかる人が年々増加している。日本ではまだ、そう多くはないが、生活が欧米化していることから、今後増えることが予想されるがんだ。(まい・まさよし、映寿会みらい病院名誉院長、金大名誉教授=金沢市)



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