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〔早期の食道がん〕 粘膜内なら内視鏡で いかに早く見つけるか |
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北國新聞(朝刊)2006年11月06日付 |
残念なことに、日本人は、近い将来二人に一人ががん患者となる道を極めて順調に歩んでいる。北陸でも今やほとんどの人が、知り合いの中にがん体験者がいるのではないだろうか。
がん体験者の中には、残念ながら亡くなった方もいれば、痛みと根気強く闘っている方もいる。一方で「がん体験者」と言いながら、まるで盲腸(もうちょう)の手術でもしてきたかのように、一週間足らずの入院で仕事に復帰、以前と変わらぬ生活を送る人もいる。
この差は、いかにがんを早く見つけるかにかかっている。少数のがんが、粘膜の中だけにいる場合であれば、粘膜ごと切り取ることで手術が終わり、治癒率も高い。
●転移する前に
食道がんも例外ではない。食道は、のどぼとけの下から胃までをつなぐ約二十五センチの消化管だ。腸に比べればほんのわずかな距離だが、食道の粘膜の下には多くの血管やリンパ管が集まっている。粘膜の下部まで達した進行したがんは、血管やリンパ管の中に入って全身を巡り、がんがほかの臓器へと転移する。そのため、食道がんというと、食道にできたがんはもちろん、いろいろなリンパ節も切除しなくてはならず、当然、手術時間も長くなり、患者の体への負担は大きかった。
しかし、がんが粘膜上皮や粘膜固有層にとどまっている場合は、リンパ節に転移している可能性は極めて低く、また超音波内視鏡の発達により転移の有無やがんがどの程度深く進行しているかも分かるようになった。そのため、食道粘膜がんに対しては、内視鏡で病巣を切除する内視鏡的粘膜切除術が行われている。がんの状態により差はあるが、日帰り手術をする病院さえあるほど患者への体の負担は少ない。
●食道取り去ることも
ただし合併症を起こす可能性が、少ないとはいえ、あることも事実だ。体に影響を与えるほど出血することもあれば、粘膜を切除することで食道に穴が開き(穿孔(せんこう))、肺炎などを起こすこともある。
食道がんの粘膜切除は、一定の水準以上の内視鏡技術とともに、食道がんに関する知識、診断、治療技術が必要なのだ。いくら成功率が高く、体に負担の少ない手術とはいえ、手術は手術。われわれ医師は患者にいろんな可能性があることをよく分かってもらい、信頼して任せてもらえるように十分話すべきだと思っている。
早期でも、病巣が広い範囲にまたがっている場合や、食道内にがんがたくさんちらばっている多発がんの場合は、内視鏡手術ではなく食道抜去手術が行われる。
頚部(けいぶ)や腹部を切開して食道を引き抜く。そして胃管を引き上げて食道のかわりにする方法だ。(まい・まさよし、金大名誉教授、映寿会みらい病院名誉院長=金沢市)
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