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〔検診の問題点〕 半数受診で死亡率激減 他人事と考えないで |
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北國新聞(朝刊)2006年12月04日付 |
ごく早期に見つけていれば、入院すらすることもなく治せるがんもある。ことに、胃がんや大腸がんでは、内視鏡で切除できるケースが多い。その多くが検診で早期のうちに発見されたものだ。
●受診率20%
がん専門医として私が断言できることは、検診で救うことのできる命はたくさんあるということである。一般的に、対象となる人の半数以上が受診して初めて死亡率の低下につながるといわれる。10―20%程度にとどまっている受診率が60―70%を超えるようになれば、完璧にとはいえないまでも、人生半ばでがんに倒れる人が、もっともっと減ることだけは確かだろう。
いい例が米国である。一九九○年代に入って、米国はがん死亡率を大きく減らすことに成功した。
がん検診の受診率は、実に70%を上回っている。米国の受診率がこんなに高くなったのには、二つの大きな理由があると言われている。
一つは、米国政府の対応である。検診率向上を目指して情報を集め、効果的な予算配分を行っている。
もう一つは民間の医療保険会社の動きだ。多くの患者に検診を受けさせた医師には、なんと保険会社がボーナスを出すのである。保険をかけている人ががんで入院し死亡したら高額の給付金を支払わなければならないが、治る確率の高い早期がんであれば出費を抑えられるからだ。
●熱心な米国
米国政府が行うがん検診は、乳がん、子宮がん、大腸がんの三つである。検診は無料、しかもこの検診でがんが見つかった場合は、治療も無料となるため、大きなメリットがある。
日本で広く行われている胃がんと肺がんの検診は、米国では実施されていない。胃がんは米国では発生率が低く、患者数は日本の十分の一だから、必要性が低いのだ。肺がんは、早期発見しても治すのが難しく、検診で死亡率が下がる裏付けが得られなかったため、検診は行われていない。
民間のボランティアの活動も盛んだ。テレビやスーパー、教会などで、保険に加入していなくても無料で受診できることを説き、がん検診をPRしている。
私たちが暮らす日本では、がんを早期発見するための検診に、米国ほどの情熱が傾けられてはいない。集団検診への補助金にしても、今や使い道を限定しない地方交付税として配分されている。これまで検診に使われていた金を、地域によっては、道路や橋の建設費として使うこともできるようになったわけである。
日米でがん征圧に対する姿勢がこれだけ異なる。繰り返すが、がんによる死を減らすためには、検診による早期発見が欠かせない。がんを他人事と思わずに、一人ひとりがもっと関心を持つことが何よりも大切だ。(まい・まさよし、映寿会みらい病院名誉院長、金大名誉教授=金沢市)
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