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〔がん登録〕 検証阻む「詳細不明」 データ確保へ義務づけを |
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北國新聞(朝刊)2006年12月18日付 |
磨伊正義 日本では、どのくらいの人ががんになっていて、どれくらいの人が治っているのだろうか。
●14万人の「誤差」
実はこんなに大切なことがはっきりしていないのが現状である。例えば一九九七年の国内のがん患者は、厚生労働省の研究班が十二の地域のがん登録をもとに計算したところ、四十八万人と推計された。しかし、国立がんセンターなどの研究グループの類推では六十二万人。十四万人もの差は誤差とは到底言えない。
こんなことになる理由は、がん登録が法制化されていないからだと私は考えている。
がん登録とは、がん患者の名前、住所、治療成績などをデータベース化して分析するシステムである。
米国では国を挙げて行われているが、日本では法的整備がされておらず、都道府県事業として三十四道府県で実施されている。統一された指針もなく、登録方法や基準もばらばらであり、とても日本全体を考えるデータベースにはなりえない。
もし、がんにかかった人全員が登録すれば、治療法や検診の有効性、地域の特性が検証できるだろう。そう分かっているのに、登録が義務化されない最大の理由は、「個人情報の保護」にあるようだ。厚生労働省は既にがん登録は「個人情報保護法の適用外」との見解を示しているが、登録を義務づける法律はない。
数年前の厚生労働省の調査では、死亡診断書でがんと分かっても詳細が不明な患者の率(DCO率)が、過半数の道府県で30%を超えていた。DCO率は、がん登録が多いほど少なくなる。がん登録が義務化されている米国では5%以下だ。北陸では福井の5%に対し、石川県は50%、富山県は30%と極めて悪い。
福井県が高精度を維持しているのは、福井県立病院長を務めた山崎信さんが、がん登録の普及のため県内の病院をくまなく訪問してがん登録の必要性を説き、医師に理解を求めたことが理由だと思う。
こうしたばらつきをなくすため、厚生労働省は、全国のがん医療の中心的な役割を果す「都道府県がん拠点病院」を指定し、各拠点病院でがん登録を進めるべきだとしている。しかし現在の手書き登録では、現場の医師には大きな負担となる。IT化を進めることと、病歴管理室に専属の登録士を配属することが必要だと思われる。
●進む試案作り
さらに厚生労働省では「全国統一登録システム」の試案が作られており、近い将来、スタートする予定である。
国の第三次対がん十カ年総合戦略では、五年間でがんの治癒率を20%改善するという大目標を掲げているが、正確なデータがなければ検証のしようがない。
がん登録がないままに、がん対策基本法を立ち上げても、効果的な対策など夢物語だろう。(まい・まさよし、映寿会みらい病院名誉院長、金大名誉教授=金沢市)
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