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〔がん難民〕 医師への不満の表れ 「対話の時間」も目安に |
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北國新聞(朝刊)2007年01月29日付 |
昨年末の新聞に、がん難民が全国で六十八万人に上るという記事が掲載された。民間研究機関の日本医療政策機構の分析で分かった、という。
「がん難民」という言葉の定義はない。治療に納得できず複数の医療機関を渡り歩くがん患者を指して使われることが多い。この調査では、対象となったがん患者の53%が、「医師の治療説明に不満足、または納得できる治療方針を選択できなかった」のいずれかに該当したという。これはあまりにも多すぎる数字ではないだろうか。
知り合いの世界的に有名ながん研究者が、国立がんセンター中央病院へ胃がんの手術のため入院した。そして「ここは無医村みたいだ」と言った。この研究者によると、担当外科医は、外来患者の診察と手術が続いてあまりにも忙しく、患者と対話する時間が取れなかったそうだ。
●「見捨てられた」
医師と接触する時間が短くなればなるほど、「見捨てられた」という思いを抱く患者が量産される。私自身、セカンドオピニオンを求めに来た患者から、そういった悩みや医師への不信感を打ち明けられることが本当に多い。
確かに新薬の効果を試す臨床試験も大切である。しかしその一方で緩和医療や心のケアという、がん診療の中でも極めて重要な領域を軽視し過ぎていないだろうか。積極的に手術を受け入れるが、再発したら「住まいの近くの病院を見つけてください」と伝えるのであれば、がん治療を行う資格がないと私は言いたい。
厚生労働省は、がんの予防や早期発見、全国どこでも同水準の治療を受けられるように、がん診療連携拠点病院の指定を進めている。石川県では五病院、富山県では七病院が指定された。
●拠点病院指定に危うさ
この指定には危うさを感じている。そこで働く医師やスタッフの実情が運営に反映されていないと、拠点病院に患者が集中するだけ。水準の高い治療はおろか、余裕のない診療となりかねないからだ。
拠点病院を治療の目安にするのもよいと思う。ただ、「がん難民」とならないために大切なことは、担当医師を信頼できるか、治療に納得できる病院かどうか、真剣に考えることである。
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