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医療記事特集
がん最前線

〔専門医〕 組織の枠超え認定へ 現状は大半が外科医
北國新聞(朝刊)2007年02月19日付

 もし、がんにかかったら、病院のどの科を受診すればよいか即答できる人は少ないだろう。日本では、「がん科」という分類はなく、がん専門医の基準も、いまだ、あいまいだからだ。

 私は外科医として四十年以上、主に消化器を中心としたがんの診療に当たってきた。日本で実際にがん治療を担当する医師の多くは、私同様、外科医が多い。四十年前に設立された日本癌(がん)治療学会に所属する約一万四千人の会員の、実に80%が外科医である。

 この十年余りの間、抗がん剤が相次いで開発され、抗がん剤を組み合わせる治療法も発達した。抗がん剤治療を専門とする腫瘍(しゅよう)内科医はまだ少なく、この分野も外科医が担当している。

腫瘍内科医が登場

 二○○二年、内科系の医師が中心となって日本臨床腫瘍学会を発足させた。目的は抗がん剤治療の専門医を育成すること。独自にがん薬物療法専門医制度を設け、昨年初めて四十七人を専門医として認定した。米国の腫瘍内科学専門医制度を導入し、外科医を中心とする日本癌治療学会とは一線を画して、国際的に通用する腫瘍内科医を育てようという姿勢を強調している。

 これに対し、日本癌治療学会は大きく反発している。がんという病気を最も熟知しているのは、現実にがんを扱っている外科医であり、専門医制度から外科医を排除することは理解できないと言うのである。

 両者それぞれに言い分はある。しかし、患者不在の議論を長引かせてはいけない。議論の結論はともかくとして、私は一昨年発足した日本医学会がん治療専門医制検討委員会による認定制度に期待している。この委員会の下で、日本癌治療学会と日本癌学会、日本臨床腫瘍学会、全国がん(成人病)協議会が共通のカリキュラムを作る。数年後には、このカリキュラムに従って診療、治療のための一定の基準以上の教育を受けた医師が専門医と認定される予定である。

「全身病」の教育を

 現在の大学医学部の授業では、がんは臓器ごとに断片的に習うだけ。しかし、がん、特に転移がんは全身病としての治療が必要であり、統一したカリキュラムを組んで診断・治療を教えるべきだ。文部科学省はこれに対し、「がんプロフェッショナル養成プラン」を打ち出し、専門医、薬剤師、看護師に対する教育プログラムを実施するための予算を組んでいる。

 もっと早期に、もっと適切に、がんを治療するための大きな節目を、今、迎えているのである。(まい・まさよし=日本癌治療学会功労会員、元金大がん研究所長)



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