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医療記事特集
がん最前線

〔再発予防の補助化学療法〕 術前術後に抗がん剤 医師と十分に相談を
北國新聞(朝刊)2007年04月16日付

 ひと昔前は、抗がん剤といえば、激しい吐き気や髪の毛が抜けるといった副作用ばかり強調されるきらいがあった。残念ながら副作用がまったくない抗がん剤はまだないが、進化した抗がん剤が次々と開発され、私の専門である胃がんにもよく効く抗がん剤が登場した。

生存率と副作用

 抗がん剤による化学療法は、胃がんにはあまり効かないというのが、これまでの「常識」だった。しかし今では私も含め多くの医師が、進行胃がんの治療や胃がんを再発させないために手術前もしくは手術後に抗がん剤を使うこともある。

 手術でがんを切除しても、目で確認できないほどのがん細胞が残って増殖し、再発する心配はある。胃がんは手術後一年から一年半ぐらいまでに再発することが多いため、万全を期すために術後一年間をめどに抗がん剤を服用してもらうことがある。これを術後補助化学療法という。

 吐き気や食欲不振などの副作用はあるが、生存率が明らかに上昇するデータがある。先月開かれた日本胃癌(いがん)学会でも、飲む抗がん剤である「TS―1(ティーエスワン)」を使った治療が、進行胃がんの再発を抑え延命に寄与したことが臨床で立証されたという報告があった。

認識不足で効果減

 抗がん剤を使った再発予防の取り組みの中で、とても残念に感じているケースがある。再発予防のために経口抗がん剤を処方した。しかし「この薬を飲むと食欲が落ちる」と患者が勝手に判断し、机の引き出しの奥に抗がん剤がごっそりしまってあったことが、再発後に分かるというケースである。

 抗がん剤服用の重要性に対する患者の認識不足と医療側の薬剤管理の不徹底が原因である。

 一般に、抗がん剤はがん細胞のような増殖の盛んな細胞を攻撃する。その結果、投与するとがん細胞だけではなく、血液を造る骨髄細胞や消化管粘膜、頭皮なども攻撃し、白血球や血小板の減少、食欲不振、吐き気、下痢、口内炎、脱毛などの副作用が起きる。ただ、副作用は薬剤の種類、投与法、個々人の体質によって大きく変わり、副作用を抑える対策もある。

 化学療法の前に、患者と医師が十分に相談することが何よりも大切だ。



 まい・まさよし=伊藤病院内視鏡センター長・副院長、金大名誉教授








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