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〔分子標的治療薬(1)〕 難治性がんにも光明 目覚ましい成果を挙げる |
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北國新聞(朝刊)2007年04月30日付 |
四十年以上に及ぶがんの診療の中で、手の施しようがないがんをいくつも見てきた。そのたびに、残念でならなかった。
もう少し早く治療していれば。
もっと効く薬があれば。
そんな思いから、われわれ医療従事者は、早期発見・治療の啓蒙(けいもう)や、新たな治療法の開発にいそしんできた。その結果として、ここ数年、目覚ましい成果を挙げている分野が、分子標的治療薬を使った化学療法である。
文字通り、分子を標的とした薬である。がん細胞は異常なほどの増殖能力と、新しい血管を作り出す能力を持っている。科学の進歩により、どの分子ががんのそうした能力をつかさどっているのか特定できるようになった。
●分裂・増殖を抑える
そこで開発されたのが、がん細胞が分裂・増殖、転移するときなどに働く特定分子の活動を抑える薬である。特定の分子に直接作用するため効き目が高いばかりではない。ほかの正常な細胞には影響を与えず、副作用がぐっと抑えられている。
この治療法を取り入れることによって、二十年前なら、手の施しようがないと無念のうちにあきらめていたであろう患者さんが、元気に回復したケースがあるので、紹介したい。
六十代のある女性は、胃に子供の頭ほどもある腫瘍(しゅよう)ができたため、胃をすべて摘出する手術を受けた。その四年後、肝臓と胃に大きさ五センチの悪性腫瘍つまりがんが発生し、分子標的治療薬の一つであるイマチニブを投与した。
●再発2年後も元気
半年後、腫瘍は三分の二に縮小した。残った腫瘍も全身に悪影響を与えるようなものではなかった。二年たった現在も、女性はいたって元気である。
この女性の胃にできたような、消化管の粘膜の下にできる悪性腫瘍を悪性間質(かんしつ)腫瘍(GIST)という。従来、手術がGISTに対する唯一の治療法であり、これまでの抗がん剤を使った化学療法はまったく効果がなかった難治性のがんである。ところがイマチニブを使えば、半数のGISTが縮小、または増殖しなくなる。
効果を挙げている分子標的治療薬はこのほかにもある。がん治療の最前線は今、激動期にある。
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