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医療記事特集
がん最前線

〔精神腫瘍学〕 再発不安の患者支える 希望持てば道は開ける
北國新聞(朝刊)2007年05月28日付

 がんは他の病気と違い、治療が一段落しても、すぐに再発への不安との闘いが始まる。そして、治癒したと思った矢先に再発すると、見ているほうがつらくなるほどに、患者は落胆する。

 だからこそ私は、四十年以上がん治療に携わってきた者として、大きな声で言いたい。

 「再発=手遅れ」とは限らない。

 私が担当する患者さんの中には、何度も再発を繰り返しながら、最初の手術から数えて十年以上もがんと闘い、元気で過ごしている人も少なくない。

自暴自棄は禁物

 自分で「もう、駄目」と思った瞬間に命が尽きるわけではない。「もう、駄目だ」と思い込んで、自暴自棄になることが一番いけない。どのように生きていきたいのかを考えることで、道は開ける。再発が見つかったら、一刻も早く、詳しい病状を知るとともに、担当医と連携を密にして、一緒に治療戦略を決定する。あるいはほかの医師からセカンドオピニオンを聞くのも一つの方法だろう。

 いずれにしろ、再発を知った時点で希望を捨ててしまうのは、早過ぎる。治療の可能性を自ら捨ててはいけない。

 精神腫瘍(しゅよう)学(サイコオンコロジー)が注目を集めている。これは、がん医療や心理学、精神医学、社会学など多くの分野の専門家が力を合わせてがんと心の関係を探り、がん患者のQOL(生活の質)を向上させようとするものだ。

 精神的な不安が続くときは、精神腫瘍学の医師、メンタルケアの専門家のカウンセリングを受ければよいのだが、残念ながら日本にはまだ少ないのが現状である。

 患者本人は、家族や身近な人に気持ちを聞いてもらったり、旅行や趣味、人生の目標など、今後してみたいことを思い描いて、気持ちを前向きに立て直してほしい。

優しく寄り添う

 家族や周囲の人は安易に「大丈夫」と言わないでほしい。予想以上に重い病状だった場合、患者の心を傷つけてしまう。「頑張ってね」「しっかり」と励ますのも避けたい。十二分に頑張っている患者の心には、こうした何気ないひと言が重荷になる。昨日より今日、今日より明日が楽しいと思えるよう、患者に優しく寄り添ってほしい。



 まい・まさよし=伊藤病院・内視鏡センター長・副院長、金大名誉教授



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