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〔スキルス胃がん(1)〕 難治性でも救われる 欠かさず胃カメラ検査を |
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北國新聞(朝刊)2007年06月25日付 |
「胃がん大国」日本では、集団検診や人間ドッグなどによって胃がん克服を進めてきた。しかし最新の診断技術でも解決されていないがんがある。スキルスタイプの胃がんである。
●全体に深く広がる
胃がんは、粘膜から発生し、粘膜下層、筋層、漿(しょう)膜へと深く進んでゆく。スキルスのがん細胞は粘膜面では非常に小さい。ところが、粘膜下層に入るとパラパラと胃の壁に一気に広がり、さらに深くなると胃全体に広がる。そのため、胃カメラつまり内視鏡検査では小さな病変しか分からず、早期の胃がんだと思っていたら実はスキルスだったということがあるのだ。
早期がんのように見えたが、実は胃壁に広く深くがんが浸潤(しんじゅん)していた四十代の女性のケースを紹介しよう。この女性は空腹時にみぞおちの辺りに痛みを感じて内視鏡検査、レントゲン検査を受けたところ、早期胃がんと診断されて私のところへやって来た。
紹介医は、内視鏡診断にかけては北陸トップクラスである。私も何の疑いもなく手術に臨んだ。ところが、胃の三分の二を切除し、摘出した標本を開いたところ、小さい原発巣の周囲の粘膜のひだが異常に厚くなっていた。既にがん細胞が広い範囲に浸潤しているスキルス胃がんだったのだ。
そこですぐに胃を全摘出する手術を行い、さらにリンパ節も予定より広い範囲で取り除いた。術後のリンパ節を詳細に調べたところ、リンパ節転移はなく、手術で根治できた。
スキルスがんは、少し前の話になるが、アナウンサーの逸見政孝さんがかかったことで有名になったがんだ。胃がん全体の5〜10%ぐらいを占めている。早期発見が難しく、手を尽くしても根治することが難しい。いわゆる難治性のがんである。
●「治らない」ではない
ただしこの四十代の女性のように、早期胃がんという見立てが糸口となって治療が間に合うこともある。難治性とは治らないということではない。
スキルス胃がんに対して万全の対策を取りたいならば次の二つに取り組んでほしい。一つは、胃カメラ検査を年二回は受けること。もう一つは、年一回はレントゲンと胃カメラで胃上部を中心に広く診(み)てもらうことである。スキルスの場合、原発巣は粘膜のひだの中に隠れていることが多いからだ。
まい・まさよし=伊藤病院・内視鏡センター長・副院長、金大名誉教授
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