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医療記事特集
がん最前線

〔負担の少ない治療〕 開腹せずに病巣除去 粘膜下層も内視鏡使い
北國新聞(朝刊)2007年07月09日付

 手術というとメスや出血を連想する人が多いだろうが、現代の技術は開腹しなくても消化器のがんを取り除ける手術法を確立した。内視鏡による手術である。私の専門である胃がんでもよく行う治療で、術後の回復が早いため、中には一、二日で退院してしまう患者もいる。

 長い管の先に特殊なカメラを装着した内視鏡を、口からのどを通して入れて胃の中を見ながら病巣を切除する。今では細くて軟らかいファイバースコープも使われており、より苦痛が少なくなった。

高周波電流を流す

 この内視鏡を使えば、胃の粘膜内にとどまっている早期がんの場合は、お腹を切らずに根治できる。胃にポリープができているときは、ポリープの茎に輪にした細いワイヤーを引っ掛けて締め付け、高周波電流を流して切除するポリペクトミーを行う。病変が陥没している場合は、粘膜の下に生理食塩水を注入し、がんをポリープ状に隆起させ、内視鏡の先端につけた鉗子を使い、高周波電流を流して切除する内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行う。

 リンパ節に転移していなければリンパ節を取る必要はないので、内視鏡で病巣さえ取れば、そのがんは治るというわけだ。

 胃癌(いがん)治療ガイドラインを定めるとき、内視鏡で確実に治せる胃がんは二センチ以下としたが、内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術(ESD)が確立され、分化型腺がんであれば十センチを越える病巣も切除できるようになった。ESDでは、針状メス、フックナイフ、ITナイフなどの最新器具を使い、健康な部分を無駄に傷つけずに手術ができる。

 内視鏡的粘膜下層切除術の問題点は、大きい病変では時間がかかることと、出血や穿孔(せんこう)など合併症の頻度が高いこと。これらの克服が今後の課題といえる。

早期発見が大前提

 苦痛が少なく、手術後の回復が早いため、拍子抜けするほどに早く簡単にがんが治る人もいる。しかし、そのためにはごく早期にがんを見つけなければいけない。さらに、再発の恐れがなくなったわけではないことも肝に銘じなくてはならない。

 どれだけ手術が簡単になったとはいえ、がんの治療は風邪を治すようなわけにはいかない。

 まい・まさよし=伊藤病院・内視鏡センター長・副院長、金大名誉教授



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