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〔腹腔鏡手術〕 傷口小さく早い回復 技術向上へ必死で研さん |
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北國新聞(朝刊)2007年07月16日付 |
私が医師になった四十数年前、がんの治療といえば、ほとんどの場合、外科的に開腹もしくは開胸手術を行い、病巣を取り去ることだった。それが今では、口から内視鏡を入れて早期がんを取り去ったり、おなかや胸に一センチ程度の穴をいくつか開けてそこから内視鏡の一種である腹腔鏡(ふっくうきょう)や胸腔鏡(きょうくうきょう)を入れて大腸や肺の病巣を切り取ることが増えてきた。
●北陸で研究会
北陸では全国に先がけて研究会(代表・上野桂一舩木(ふなき)・上野病院長=野々市町)が発足した。今年三十三回目の研究会を開く予定だ。こういった場で研さんを積んだ外科医が腹腔鏡や胸腔鏡による手術を積極的に行っている。
腹腔鏡手術では、原則として全身麻酔し、炭酸ガスによって膨らませたおなかに穴を開け、腹腔鏡や切除に使う電気メスなどを挿入し、胃や大腸とつながっている周囲の組織を外し、周囲のリンパ節を切り取る。最後に五センチほどおなかを切って胃や大腸を引き出して病巣を切除する。
従来の開腹や開胸手術より、手術による傷が小さいため術後の痛みが少なく、回復が早い。主治医が手術の翌日に回診にいったところ、患者は散歩に出かけ、ベッドは空だったということもよくある。私の印象としては、術後の腸閉塞(へいそく)も少ないようだ。
●出血時の対応課題
ただいくつか欠点はある。長い鉗子(かんし)が操作しにくい。縫合しにくい。さらに、手術中に突然出血した場合、開腹手術ではすぐに止血できるが、腹腔鏡手術では、できないこともある。
こうした欠点を克服するには、医師が熟練するしかない。
腹腔鏡手術が日本で初めて行われたのは、一九九〇年。早期胃がんや早期の大腸がんなどもこの方法で手術し始めたのは九五年。普及し始めてまだ日が浅いため、残念ながら、熟練した技術を持った医師は、まだ少ない。日本内視鏡外科学会が技術認定制度を設けるなど、医療側は必死で研さんしている。
●費用は10万円増し
内視鏡手術は、特殊な器具を使うため割高だ。大腸がんでは一般的な開腹手術の費用は三十二〜四十四万円程度だが、腹腔鏡手術ではほぼ十万円増しとなる。ただ術後の回復が早く入院日数が短いため、全体の治療費は腹腔鏡手術のほうが安くなることが多いようだ。(まい・まさよし=伊藤病院・内視鏡センター長・副院長、金大名誉教授)
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