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医療記事特集
がん最前線

〔直腸がん手術〕 排せつ、性機能も損ねず 人工肛門は1、2割
北國新聞(朝刊)2007年07月23日付

 従来の常識では考えられないほど患者の体に負担の少ない手術が行われるようになった。ことに大腸がんの一種である直腸がんの手術の進歩はめざましい。

 大腸の肛門(こうもん)付近の直腸にがんができる直腸がんはこれまで、がんのできた直腸と肛門、肛門括約筋(かつやくきん)を切除して、おなかに人工肛門を作る手術で治すことが多かった。

20代で結婚断念

 肛門や肛門括約筋を切除すると、生まれ持った排便機能が損なわれる。それだけではない。直腸の周囲には排尿のほか、勃起(ぼっき)・射精機能などもつかさどる神経がある。直腸がんの手術によってそれらの神経を切ったため、導尿管を使って排尿する若い女性や、二十代で性機能を失ったため結婚をあきらめた男性など、命が救われたとはいえ、つらい思いをする患者が多かった。

 直腸がんの手術は、骨盤内の狭い場所で行う。そのためがんの切除に成功しても、残った直腸と結腸を縫い合わせるのは極めて難しく、根こそぎ切除し、命を守ったのだ。

 それがホチキスのような仕組みの自動吻合(ふんごう)器の登場により、直腸が二センチも残っていればきれいに縫合できるようになり、肛門を残すことができるようになった(肛門括約筋温存術)。

 十年ほど前は直腸がんの患者の七、八割がおなかに人工肛門を作ったが、今や一、二割程度。直腸がん患者の八割以上が手術前と同じように肛門から排せつできるようになったのだ。

進行度で異なる

 神経を一本一本残し、排せつや性機能を損なわないようにがんを切除する自律神経温存術も普及してきた。ただどの程度、神経が残せるかは、がんの発生部位と進行度により異なる。

 早期発見ができれば、内視鏡治療もできる。直腸がんだと告げられても、肛門の機能を失い、男性としての機能を失ってしまうと、いたずらにおびえないでほしい。(まい・まさよし=伊藤病院・内視鏡センター長・副院長、金大名誉教授)



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