|
|
 |
〔家族性がん〕 「大腸」の5%は遺伝性 命を守る定期検診 |
|
北國新聞(朝刊)2007年08月20日付 |
三十年ほど前までは、がんは遺伝する病気ではないとされてきた。
しかし同時に、がんになりやすい家系があるという事実も知られていた。代表的なのは、フランス革命を起こし十九世紀に皇帝となったナポレオンの家系。胃がんが多いことで知られている。
そんなことからがんの遺伝の研究が進められ、現在では大腸がんの一部は遺伝性であることが分かっている。家族性大腸ポリポーシス(FAP)が代表的な遺伝性のがんで、一万五千人に一人がこのがんになると言われている。APCというがん抑制遺伝子に変異のある人がかかりやすく、日本では五百家系が確認されている。
FAPでは、十歳から二十歳の間に大腸に数千から数万のポリープ(腺腫(せんしゅ))ができる。これを放っておくと四十代ぐらいでがんになる。
FAPは、メンデルの遺伝の法則でいうところの優性遺伝をする。つまり、両親のうちどちらか一人がこの病気であれば、四人の子供のうちの二人が発症するということになる。
●50%の確率
確率で言えば、父親か母親がこの病気の場合、50%の確率で子供は大腸がんになるということだ。
命を守るためには、年二回、大腸すべてを内視鏡で検査することが必要だ。ただし内視鏡検査だけでは「いつ発症するか」と不安になる人が多い。この不安は肉体的にも精神的にも大きな負担となるため、大腸を切除し、小腸と肛門をつなげる手術を行うことも多い。
●修復遺伝子に異常
大腸がんの、実に5%が遺伝性である。
FAPのほかにも遺伝性非ポリポーシス大腸がん(HNPCC)がある。これは、ある家系にだけ大腸がんをはじめ、乳がんや子宮がん、胃がんなどが遺伝するもので、米国で一九七一年に臨床的に確認されたことを機に、がん家系症候群と名付けられた。
HNPCCではポリープはそう多くはできないが、五十歳以下という若いときに発症し、多くは右側結腸にがんができる。遺伝子の異常を修復するミスマッチ遺伝子の異常により発生することが分かっている。
まい・まさよし=伊藤病院・内視鏡センター長・副院長、金大名誉教授
|
|