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医療記事特集
がん最前線

〔分子標的治療〕 増殖因子を狙って攻撃 難治性肺がんに実績
北國新聞(朝刊)2007年09月17日付

 金大医学部附属病院にがん高度先進治療センターが発足し、日本転移学会を通して以前からの知己である矢野聖二教授が初代センター長となった。矢野教授は、肺がん治療の専門家。抗がん剤も効かない難治性の肺がん患者に対する「第四の治療法」と言われる分子標的治療にも造詣が深い。代表的な分子標的治療薬ゲフィチニブ(商品名イレッサ)について矢野教授に聞いた。

錠剤で症状改善

 分子標的治療薬は、がん細胞の増殖因子となるたんぱく質などを特定し、狙い撃ちするかのように攻撃する。ゲフィチニブは手軽に服用できる錠剤タイプの内服薬。再発した患者に限って投与が許されており、抗がん剤が効かなくなってからでも投与した患者の20%前後に病状の改善が見られる。

 矢野教授が担当した患者の中には、ゲフィチニブを一日一錠投与したところ、一カ月後には右肺にあったがんの塊が消えた人がいた。別の患者は、レントゲンに真っ白な影となって写るほど肺にがん細胞が広がっていたが、ゲフィチニブ服用後わずか二週間で、影がきれいに消え、二年以上にわたり再発を防止できた。

 成功例だけを聞けば、まさに夢のような新薬なのだが、残念ながらいいことばかりではない。発しんや肝障害、下痢などの副作用が服用した半数以上に現れるほか、間質性肺炎を患う人もいる。さらには副作用で死亡した人もいる。

 がん治療の最大の目的は命を救うことだ。ただし抗がん剤も効かない末期となり、命を救える見込みがないからといって「手の施しようがない」と治療を放棄してしまうことができるだろうか。自分らしく生きる時間を少しでも延ばしたいというのが本音ではないだろうか。

患者は納得が大切

 そのためには、副作用について、さらには「手ごろ」と表現することはできない治療費についても主治医とよく相談し、十分納得した上で治療法を選ぶことだ。

 主治医以外の意見を聞く「セカンドオピニオン」も重要である。「セカンドオピニオン」では改めて検査をしたり治療をするわけではないが、医師によって異なる、がん治療に対する考え方を知ることができる。専門家の意見も実にさまざまだ。異なる意見を聞いて迷うことはあるかもしれないが、選択肢は多い方がいい。



 まい・まさよし=伊藤病院・内視鏡センター長・副院長、金大名誉教授



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