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〔血管新生抑制薬〕 「兵糧攻め」で増殖抑える 供給する医療機関を限定 |
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北國新聞(朝刊)2007年09月24日付 |
四千以上のがんを切除してきた外科医の経験からすると、最も心身に負担のないがん治療は、小規模な手術で切除できるほど小さいうちにがんを発見し、取り去ってしまうことだと思う。
しかし残念なことに、日帰り手術で切除できるほどの早期がんを発見できた人は、まだひと握り。切除手術が不可能な場合も多い。そんな状態のがんと闘うために登場したのが分子標的治療であり、血管新生抑制薬である。
●血管作らせず
がん細胞は正常な細胞と比べ、異常な速さで増殖して進行し、さらには転移する。増殖を促す分子の働きだけに歯止めをかけてがん細胞の増殖を食い止めるのが、分子標的治療だ。その中でも血管新生抑制薬は、文字通り血管の新生を妨げ、がんの増殖を食い止める。
異常なまでの増殖活動を支える栄養や酸素を取り入れるため、がん細胞は毛細血管を作り出す。薬を投与し、この血管を作らせないようにすれば「兵糧(ひょうろう)攻め」ができ、増殖、転移を抑えられる。
今年四月、大腸がんの新しい治療薬として日本で血管新生を抑える薬アバスチン(一般名ベバシズマブ)が承認された。
欧米の臨床試験では、従来の治療よりも四、五カ月の延命効果があったとされている。世界の約九十の国で承認されており、国内では患者団体が早期の認可を求め、ようやく承認されたという経緯がある。
転移や再発を起こして手術できない大腸がん患者への救いの手ではあるが、実は手放しでは喜べない状況だ。
高血圧症や白血球減少症のほか、消化管に穴があく消化管穿孔(せんこう)や血の塊が詰まる血栓症などの重い副作用も起きたからだ。
●副作用に高額治療費
日本の発売元では適正使用のため、アバスチンを処方できる医療機関を「がん化学療法に精通し、副作用への緊急対応が可能で、全例調査に協力する医療機関」に限定している。
もう一つ、手放しでは喜べない理由がある。治療費が高額になることが予想されるということである。
費用や効果について医師とよく相談した上で、決断して治療を受けることが迷いのない療養生活につながる。その中で、新しい治療法にはリスクもあることだけは忘れてはならない。
まい・まさよし=伊藤病院・内視鏡センター長・副院長、金大名誉教授
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