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医療記事特集
がん最前線

〔免疫療法(1)〕 初期の薬剤、金大で開発 今も「現役」で活躍
北國新聞(朝刊)2007年11月05日付

 がん免疫療法は手術、放射線、化学療法に次ぐ、がんの「第四の治療法」と言われ、大都市圏でしか受けられない先進医療のような印象を持っている人も少なくない。しかし、実は百年以上前から試みられてきた療法だ。そして金大がん研究所はその歴史に大きな貢献をしており、現在は米国での長年の研究の実績を生かし、金沢で治療にあたる土屋晴生医師(金沢聖霊総合病院)もいる。

OK432と命名

 免疫力を高めることで治療効果も高める「免疫療法」が本格的にがん治療の現場に登場したのは一九七〇年代のことである。結核菌のワクチン(BCG)、キノコ類から抽出したクレスチン、レンチナンなどが免疫力を高めるとされ、がん治療の最前線で使われ始めた。

 そんな中で金大で開発された、連鎖球菌から作られるOK432(商品名ピシバニール)は、現在も胃がんのがん性胸腹水や頭頚部(とうけいぶ)がんなどの免疫治療で活躍している。

 OK432は、初代がん研所長で日本学士院賞も受賞した岡本肇金大名誉教授(故人)が、溶連(ようれん)菌に注目したことから生まれた。岡本教授と共同研究者の越村三郎教授のイニシャルが「O」「K」、薬剤として完成した昭和四十三年二月ということから、OK432と命名された。

 溶連菌は、皮膚の化膿(かのう)性炎症性疾患の一つである丹毒(たんどく)の病原菌である。岡本教授らは、この溶連菌培養液にある種の酵母を加えるとがん細胞がみるみるうちに死滅することを確認した。

発端の菌、教授から

 臨床試験で頭頚部腫瘍(しゅよう)に直接注射すると腫瘍が縮小・消失したことから、当初はがんを直接攻撃する抗がん剤として使われた。しかしその後の研究で、OK432は、腫瘍を攻撃するさまざまなサイトカインを分泌することが分かり、発売以来二十年以上たった今でも現役の薬剤として使われているのだ。

 岡本教授の研究の契機となった溶連菌は、今も金大の研究室に眠っている。この病原菌は一九二七(昭和二)年七月、旧制金沢医科大(現金大医学部)の眼科教授が重い丹毒にかかって死去した体から採取したものだという。

 まい・まさよし=伊藤病院・内視鏡センター長・副院長、金大名誉教授



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