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医療記事特集
貯めよう筋肉

〔運動習慣がない場合〕 半月ほどストレッチを 最後に腰を回して
北國新聞(朝刊)2006年10月11日付

 先日、一人の五十代の女性が、私を訪ねてきた。

 彼女はある日ふと、「この先、歩けなくなったらどうしよう」「寝たきりには絶対なりたくない」と考え、一日でも早く筋肉を増やし、できるだけ「貯筋(ちょきん)」をしようと、にわかに、しかも連日、運動したそうだ。

 その結果、体の調子が悪くなったと言い、「この年になったら、貯筋は無理なんでしょうか」とため息をついた。

準備が必要

 確かに彼女の話を聞くと、腰部に疲労が蓄積していた。骨盤も広がっていた。

 実はこの状態は、それまで運動した経験のない人が急に運動したときに陥る典型的な状態だ。

 定期「貯筋」を始めるには準備が必要である。いきなり運動量を増やすと、傷めてはならない腰と膝(ひざ)を傷めてしまうことがある。

 「貯筋」を成功させるポイントは、急がないことだ。いきなり筋肉を太らせるような刺激を加えずに、まずストレッチ体操や、ラジオやテレビで放映されている体操を行って筋肉を伸ばし、関節を柔らかくする。

 床に膝立ちし、片足だけ前に伸ばしてかかとを床につければ、前に出した足の裏側の筋肉が伸びる。床に座って体の前で足裏を合わせ、それを両手で包み込んで体に引きつければ、ももの内側の筋肉が伸びるだけではなく、股関節(こかんせつ)が柔らかくなる。

 この準備期間は、一般的に二週間から三週間必要だ。もちろんこれだけでも歩く力は高まる。自分で少し体が柔らかくなったと感じたら、「貯筋」運動を始めればよい。

 運動の強度は、慎重に強くしていきたい。どんな種類の運動でも、十回程度行った後、「楽である」から「ややきつい」と感じる程度の強さで行うのが理想的だ。その状態で一カ月も続けると、物足りなく感じるようになる。

 そうしたら回数を十五回程度に増やし、「やや、きついかな」と感じるぐらいの強さにする。

 これを繰り返していくと徐々に筋肉は強くなる。

3カ月目安に

 運動し始めて三カ月程度たったら、今度は同じ運動を一日に三セット行う。

 大切なのは運動しているときだけではない。運動した後、体を柔らかくし、左右対称に整えておくことがとても重要だ。そのためには、運動は左右同じ回数行い、運動後はストレッチを行う。そして最後に、腰をゆっくり大きく回すと、全身のバランスが整えられる。これももちろん左右同じ回数だ。高齢で筋肉が弱っている人は幅広いゴムベルトを腰に巻いた上で腰を回すと効果的だ。ここまでしておけば、筋肉がしなやかになり、腰痛にもなりにくい。

 さらにもう一つ大切なことがある。上手に休養することだ。運動によって疲れたり、腰を傷めたりしないためにも、「貯筋」運動は、週に二、三日行えば十分だ。必死に毎日行うことは避けたい。同じ運動と言ってもウオーキングは毎日行ったほうがよいので、ご注意を。(平下政美金城大教授・環境生理学=金沢市)



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