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〔体の冬支度〕 乾布摩擦で皮膚が敏感に 脳の反応高めたい |
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北國新聞(朝刊)2006年10月25日付 |
体が冷えて、おしっこをしたくなる。だれもがこの季節、体験することだ。
体の中の水分は、体温を下げる役割も果たしている。だから体の周りの温度が下がって体温が奪われ始めたら、体温の低下を防ぐため体内にある水分を積極的に排出するのである。
日中は汗ばんでも朝晩がひんやりする季節になれば、健康な人ならどんな人でもおしっこをする回数が増える。暑い夏を乗り切るためにぐっと水っぽくなった体からどんどん水を排出し、体の冬支度を整える季節が秋なのである。
●気温を感じる
ここで問題となるのが、気温が下がったことを感じられるかどうかということだ。
私たちは気温の上下を、主に皮膚で感じ取り脳に伝える。脳はそれに応じて、寒さ対策の指令を出す。上着をはおる。温かい部屋に移動する。ストーブをつける。それでも事足りなければ、手足を冷たくしたり、ふるえを起こさせたりするのだ。
寒さのレベルに合わせた行動は、まず皮膚で寒さを感じなければ起こらない。しかし、年を重ねるとともに、体の周りの温度変化が皮膚から「正確に」「すばやく」脳に伝わりにくくなり、高齢者の低体温を引き起こす。
目をつむって片手を四〇度程度の湯、片手を室温と同じ二〇度の水につけてもらうという実験をしたことがある。二十代の学生はすぐに、水か湯かを言い当てたが、六十五歳以上の人の中には、湯と水を区別できない人が複数いた。
このような高齢者は、若い人に比べて体の冬支度が遅れてしまう。いつまでたっても寒さに慣れることができずに、とても寒く感じてしまうのだ。
暑さ、寒さをしっかりと感じる皮膚を取り戻すためには、乾布摩擦が一番だ。乾布摩擦は血行を促進するだけではない。乾いたタオルで体のいろいろな部位をこするのは、筋肉を貯める「貯筋(ちょきん)」運動にもつながる。
乾布摩擦は子供にもすすめたい。赤ちゃんのころからエアコンのきいた部屋で育った現代の子供も高齢者同様、暑さ、寒さに反応できないことが多い。「皮膚に触れても気付かない」「くすぐっても笑わない」「痛みを感じにくい」といった鈍感な子にはぜひ乾布摩擦をさせよう。
毎日五分。素早く心臓に向かって、毛が生えている方向に逆らって、乾いたタオルでこすり上げる。
いくら周りが寒くても、体の中で熱を作りその熱を逃がさないようにすれば体は温かくなる。大腿(だいたい)の内側から骨盤にかけて体の内部に走る大腰筋(だいようきん)を動かすと、最も大きな熱を得られる。鍛えるには、机やいすにつかまってももをできるだけ高く上げる。日に五十回ぐらいを三回に分けて行うとよい。
●夕食前に運動を
また、あお向けに寝て膝(ひざ)を立てた姿勢から、息を吸いながらゆっくり片足を天井に突き上げるように伸ばし、五秒間止める運動もおすすめ。両足交互に毎日十回ずつ繰り返すとよい。夕方、晩ご飯前に行うと効果的に「貯筋」でき、体も温まる。(平下政美金城大教授・環境生理学=金沢市)
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