top 応急手当Q&A 休日当番医 健康チェック リンク集 お問い合わせ
北國健康生きがい支援機構
トップページ > 医療記事特集

医療記事特集
貯めよう筋肉

〔鉢巻き無用論〕 運動する意欲が低下 額さらし「頭寒」を
北國新聞(朝刊)2006年11月15日付

 日本人はなぜか鉢巻きが好きだ。バンダナをきりりと締めて山歩きを楽しんだり、欧米選手の影響で、テニスをするときはヘアーバンドを欠かせないといった団塊の世代の姿もよく目にする。

 しかし、この鉢巻き、筋肉を鍛え、体に筋肉を貯める「貯筋(ちょきん)」運動をするときは避けたい装いだ。

体温調節狂う

 たかが布きれ一枚だが、脳の温度に大きな影響を与え、体温調節を狂わせてしまうからである。

 春夏秋冬、どれだけ気温が変動しても、私たち人間の脳の温度は一定に保たれる。あまりにも暑くなれば、顔や頭に汗をかき、風を受けることで顔や頭の皮膚に流れる静脈血の温度を下げる。そうやって冷やされた血が頭の内側に流れ込んで脳の温度をほどよく下げる。

 風邪を引いて四〇度近くの熱を出しても脳は壊れない。それは、血によって一生懸命脳の温度を下げているためだ。鉢巻きを締める額(ひたい)や前頭部は、脳に冷たい血を送り込むためにも、常に風にさらしておきたい場所なのである。

 筋肉を貯めるという視点で考えれば、脳を一定の温度に保つことは、割のいい「貯筋」の第一歩といってもよい。

 筋肉を動かして鍛えるということは、筋肉から大量の熱が発生するということでもある。運動による血液の温度上昇を感じた脳は、速やかに、皮膚に多くの血液を流し、筋肉へ流れる血液を大きく減らす。

 この血液の流れをつかさどるのは脳だ。どんなに優秀なスポーツ選手でも、夏は春や秋に比べて、きつい運動を長く続けられない。夏場は高い気温の影響を体が受けないように、常に大量の血液を皮膚に流している。そこにさらに血液を流して、運動による熱も発散させようというのだから、限界があるわけだ。

 この原理から考えると、冬に向かうこれからの季節は、「貯筋」が進む季節といえる。

 気温が低いため運動しても皮膚へ流す血液は少なくてすむ。その分、筋肉へは、たくさんの血液が流れ込む。血液は酸素と養分の運び屋だから、筋肉はよく動き、鍛えられ、割のいい「貯筋」ができるわけだ。

脳の温度は低く

 皮膚へ血液を流すか。筋肉へ血液を流すか。その判断は脳の温度で決まるわけだから、脳の温度を少しでも低くできれば、より長く運動を続けることができる。

 暑い季節、太陽の光を浴びて行うウオーキングでは紫外線よけに帽子やサングラスを着けていたほうがいいこともある。しかし、鉢巻きにその効果はない。

 鉢巻きで額をおおって脳の温度を上げることは避けたい。寒い冬でも、背中のほうからゆるい風を受けるような場合は顔に当たる風は無風となるため、帽子、鉢巻きはせず額を外気にさらすように努めよう。

 締めた瞬間は精神統一できるかもしれない。しかし、ウオーキングやジョギングなど長時間続ける運動をする場合、鉢巻きは徐々に運動への意欲を低下させる。「貯筋」の装いは「頭寒足熱」だ。(平下政美金城大教授・環境生理学=金沢市)



Copyright (C); THE HOKKOKU SHIMBUN All Rights Reserved.
〒920-8588 石川県金沢市南町2番1号 北國新聞社広報課 Maill : ikigai@hokkoku.co.jp