|
|
 |
〔家の中で〕 効果的に「物を動かす」 腰落とし持ち上げよう |
|
北國新聞(朝刊)2006年12月20日付 |
心身ともにはつらつと過ごすために、どれだけ年を重ねても筋肉は落とさないほうがいい。筋肉を貯(た)めて生き生きと暮らすために意外と効果的なことが部屋の模様替えや年末の大掃除だ。
中でも、「物を持って、移動させる」という行動は、全身の筋肉を使い、新たな筋肉を貯める運動になる。自分の体力に応じた物を動かし、太陽の光がさんさんと指し込む明るい部屋にし、新年を迎えようではないか。
●ひざは曲げる
「物を持って、移動させる」行動で最も心配なことは、腰痛やぎっくり腰を引き起こさないかという点である。予防するには、重い物を持つときの基本姿勢を守りたい。
みかん箱やタンスの引き出しを持ち上げるときは、ひざを十分に曲げて腰をぐっと落とす。そして、腰を曲げないで、つまり背筋を伸ばしたまま、箱をおなかに抱え込むような姿勢で立ち上がる。
運ぶときは荷物を体にくっつけて動かすとよい。
反動をつけて持つのは厳禁だ。ゆっくり持ち上げ、ゆっくり運ぶのがいい。
決してひざを伸ばしたまま、腰だけを曲げて伸ばした腕で荷物を取ろうとしてはいけない。
運ぶ順番は軽いものから。例えばタンスを動かすときは、まず衣類やタオルなどタンスの中味を数回に分けて運ぶ。次にタンスの引き出しを運び、最後にタンス本体を動かす。
自分を過信せずに、持てるものだけを持とう。
特にヘルニアを経験した人は決して重い物を持たないこと。再発する可能性が高い。また、ひざが痛い人にもこの運動はあまりすすめられない。痛いひざをかばって、ひざを曲げる代わりに腰を曲げてしまうからだ。
筋肉を太くする「貯筋(ちょきん)」運動というと、ジムに行かなくてはならないと思いがちだが、家の中で行う毎日の動作の中で知らず知らずにしていることが少なくない。
和室での、ふとんの上げ下ろしは最高の「貯筋」である。きれいにたたみ、押し入れにしまうときも一枚ずつ丁寧にしまうと、より効果的だ。
洗濯物を干すさおを、ふだんより少し高めにつるせば、ストレッチとなり、肩こり解消効果が期待できる。
私はここ数年、高齢者の運動について研究するために北欧をたびたび訪れている。そのたびに驚くことは、とても長く暗い冬の間、北欧に住む人々が、室内でできる楽しみ方をいろいろと工夫していることだ。サウナを楽しんだり、家具や食器など身近なもののデザインに凝り、それらについて会話の花を咲かせている。
●会話も楽しもう
会話を楽しむことは、頭の健康の基本だ。いただきもので大切にしまい込んでいた新しい食器があれば、新年を迎えるにあたり、出して食卓に並べてみたらいかがだろう。ものを出すという運動と、頭を健康にする会話のタネが生まれるだろう。(平下政美金城大教授・環境生理学=金沢市)
|
|