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〔正しい姿勢〕 下腹に力入れ、視線は遠くに 運動はもも上げを |
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北國新聞(朝刊)2007年03月14日付 |
どんな人でも、年を重ねるほど、姿勢が悪くなる傾向がある。鍛えないでほうっておくと、筋肉が衰え、自然に前かがみになる。
さらに足の後ろの筋肉も衰えると、日常的にいすに腰掛けようとしているような姿勢で過ごすことになる。類人猿が立った姿勢を思い浮かべると分かりやすいだろう。
●間違った正し方
問題は、自分の姿勢が悪くなっていることに気づいたとき、間違った方法で姿勢を正してしまうことだ。その結果、さまざまな悪い姿勢が生まれる。
体が前に傾いたまま、顔だけを上げている人。膝(ひざ)は曲がったままなのに、不自然なほどに胸を張る人。これでは体が痛いはずだ。
正しい姿勢とは、以下のすべてを備えて初めて実現するものだ。▽下腹部に力を入れる▽背骨はシャキッと伸ばす▽あごは地面と平行▽視線は遠くに置く▽胸を張る。
しかし実際は、いずれか一点だけを気にして実行する人が多い。結果として、歩きにくく疲れやすい姿勢を身に付けるばかりか、姿勢さえ正しければ傷めない筋肉に負荷をかけ、痛みを誘発する。
いわば負の「貯筋(ちょきん)」。痛みを引き起こすために筋肉を鍛えていると言ってもよいだろう。
人間の正しい歩行は、ひとえに背骨が前後に「S」の字に維持されることに尽きる。
背骨の上部は、後ろにゆるやかに反り、下部は前に湾曲する。前後に背骨が湾曲した姿勢を正しく取ることで、自然に体はまっすぐになり、頭が背骨にしっかりと載り、視線を遠くに置けるようになる。
つまり、姿勢を正しくするには、背骨が「S」の字を描くように運動すればよいわけである。
そのためには、テーブルやいすに軽くつかまり、ももをゆっくり高く上げるとよい。左右の足ともに十二回から十五回上げて、しばらく休む。この運動を日に三回、週に二回行うことが、姿勢を正しく保つ基本となる。
●両手に杖持つ
どうしても前かがみになる場合は、スキーのストックのように、両手に杖(つえ)を持つと上体が自然と起きる。その姿勢でゆっくりと歩く練習をしよう。
私が指導する高齢者の筋肉トレーニング教室でも、姿勢が崩れ、転倒しやすい不安定な歩き方をしている人には、まず姿勢を正しく保つ「貯筋」運動をしてもらう。すると、誰の目にも分かるほど姿勢が改善される。
教室の仲間同士、「よい姿勢になりましたね」「上手に歩けるようになりましたね」と声をかけ合い、それがまた励みになる姿もよく見かける。
「貯筋」運動の効果を高めるためにも、知人、友人、夫婦が互いに「背中が丸くなっているよ」と指摘し合ってほしい。
筋肉を鍛え続ければ、悪い姿勢よりもよい姿勢を作る場所に筋肉は納まる。筋肉とはそんなものなのだ。
ひらした・まさみ=金城大教授・環境生理学、金沢市
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