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〔運動の前に〕 心地よい曲でやる気高める 心ほぐせば体も動く |
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北國新聞(朝刊)2007年06月13日付 |
筋肉を貯(た)める「貯筋(ちょきん)」は、若い世代にとっては、毎日をより元気に過ごすために有効である。五十歳を過ぎた人にとっては、将来の寝たきり生活の予防に直結する。コツコツと少しずつでも毎日貯めるのがいいのは貯金も貯筋も同じだ。
こうした基本を踏まえた上で、六十五歳以上の方は心をほぐすことから貯筋を始めることを提案したい。
●笑顔が見えず
高齢者の貯筋指導の場には、「妻(夫)の介護のために自分が寝たきりになるわけにはいかないのです」とばかり、切迫した思いにかられて参加されている方がいる。そうした方は、残念ながらほとんど笑顔を見せてくれない。
心が晴れ晴れしていれば、体も身軽に動く。心配事を常に抱えていると、運動をする意欲も起きない。しっかり貯筋したければ、まずは心をリラックスさせよう。
日本のマラソンのトップ選手は自分の力を十分発揮できるよう、レース直前に音楽を聞く人が多い。その音楽の傾向を共同研究したことがある。意外なことに、気分を高揚させるアップテンポの曲よりも心を穏やかにさせる曲を、オリンピックでメダルを獲得するような一流選手は選んでいた。
運動をしなければと、せきたてられているように感じたら、いったんは運動を忘れて、自分にとって心地よい曲を聞いてみよう。聞いて心地よい音楽は心を和ませる働きがある。
聞いているうちに、やがてやる気(意欲、意思、創造力)などが高まる。脳の前頭葉が発達した人間にしかできない技である。
リラックス効果のある曲というとモーツァルトやショパンなどクラシック音楽を思い浮かべるかもしれないが、流行歌でも十分リラックスできる。美空ひばりの「川の流れのように」、山口百恵の「いい日旅立ち」などは典型的な心の緊張を和らげる音楽だ。
猛暑が来る前の梅雨どきは、意外と熱中症になりやすい。これは、運動で上がった体温を、体からうまく発散できないことが原因となる。曲を聞いてリラックスしたら、熱を体にため込まないような運動をしよう。
●5分以内で
たくさんの熱が発生する腹筋や背筋、太ももなど大きな筋肉を鍛える運動は避ける。一つの運動が五分以内で終わるような、短い運動を繰り返したほうがいい。
体温が上がると脳が察知し、汗を出したり皮膚表面への血流量を増やして体温を下げる。体温が下がると脳は今まで皮膚表面にたくさん流していた血液を筋肉に回す。血流量が増えた筋肉はどんどん太り、貯筋が進むというわけだ。
ゆっくり三分、早足で三分歩くことを繰り返すインターバル速歩なら適度に体が冷える。暑さに慣れる訓練にもなる。
ひらした・まさみ=金城大教授・環境生理学、金沢市
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