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〔登山に備える〕 荷物を背負いスクワット 下り道が楽になる |
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北國新聞(朝刊)2007年07月04日付 |
白山、立山が山開きし、いよいよ夏山シーズンが到来した。山登りは格好の太ももの「貯筋(ちょきん)」運動である。空気が薄いため、心肺機能も鍛えられる。つまり心臓の「貯筋」も進むため、一週間ほど高い山で過ごして下山すると体調が良くなったと感じるほどだ。
ただ体を調整しておかないと「行きはよいよい、帰りは怖い」となるのが登山である。
●膝が笑う
十五年前の話である。妻をつれて白山に登った。いざ帰りになると、途中から妻は一歩も歩けなくなった。「膝(ひざ)が笑う」状態になったのである。
膝が笑うのは、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という太ももの前の部分の筋肉が疲れたせいだ。大腿四頭筋は、膝の皿や、膝から下の足とつながって、これらを支える役割をしている。そのためこの筋肉が、疲れてくると膝下を支えきれなくなるのだ。
下りには、登るときの倍以上の負荷が大腿四頭筋にかかり、疲れやすい。
山を下りる動作によって、大腿四頭筋は縮んだ状態から伸ばされる。筋肉が引き伸ばされながら力を出す運動を、エクセントリック運動と呼ぶ。
エクセントリック運動は筋繊維を大きく傷つけるため、筋肉を太らせるには絶好の運動である。しかし同時に激しい筋肉痛に悩まされる。運動で傷つけられた筋肉を修復するときに痛く感じるのだ。
登山に備えるために、もしくは山に登らなくても同様の効果を上げるために役立つ筋肉トレーニングを紹介しよう。リュックサックに何かを入れて、自分の体重を少し重くする。そしてイスや机に両手でつかまりながらスクワット運動をすればよい。
足のつま先を外側に向け、両足を肩幅よりやや広く開く。大腿四頭筋がゆっくり伸ばされていく感じを味わいながら、上体をゆっくり下げる。
呼吸は深めに。上体を下げたときに息をはき、膝を伸ばしたときに息を吸う。
●1セット15回
背筋を伸ばし、視線を遠くに置いて十五回一セットを一日三セット、週三、四日行う。
登山前一カ月間、この運動をしておくと、下り道がかなり楽になる。
山は、私たちが生活している平地より乾燥しており、呼吸で失われる水分量が大きい。加えてリュックサックを背負っているため、リュックと背中の間にいつも汗をかいており、荷物を持たずに平地をウオーキングしているときよりも随分早く脱水が進む。
十分から十五分歩いたら一、二分休憩し、そのつど水をひと口飲む。夏山では水が命だ。
山では空気が希薄な分、すぐに呼吸がつらくなる。白山の室堂付近では、平地の八割程度の力しか発揮できないと考えたほうがいいだろう。従って荷物を整えるときも、平地で持って楽な重さより二割ほど軽くなるように調整するとよい。
ひらした・まさみ=金城大教授・環境生理学、金沢市
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