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医療記事特集
貯めよう筋肉

〔いすを使って〕 ゆっくり立ち腹直筋鍛える 背筋はまっすぐに
北國新聞(朝刊)2007年08月29日付

 特に病気やケガをしていなくても、自分も年を取ったなと感じる瞬間が生活の中にはたくさんある。代表的なものが「よいしょ」「よっこらしょ」「どっこいしょ」のひと言である。

 運動習慣のない現代人は、二十代半ばの若者でも無意識のうちに「よっこらしょ」と言う人もいるほど。予防策を講じていないと、老いは意外と早く忍び寄ってくるものだ。

 次第に、「よいしょ」と声に出しても立ち上がりにくくなる。最初は畳から、次はいすからさえ立ち上がるのがつらくなる。こんなときこそ筋肉を貯(た)める「貯筋(ちょきん)」運動をしたい。何歳から始めても確実に結果が出る運動だ。毎日続けてみよう。

下腹に力入れる

 いすから立ち上がるとき、人間は最初に下腹にぐっと力を入れて腹直筋(ふくちょくきん)を働かせ、上体を起こす。続いて大腿四頭筋(だいたいしとうきん)(太ももの前の部分)を働かせて、立ち上がる。

 この二つの筋肉を効果的に貯めてやれば、見た目もさっそうとする。

 背もたれのあるいすを用意する。

 (1)いすの背にクッションや枕を当て、背筋をなるべくまっすぐにして腰かける。両手を交差させて胸に置く(腕を組んでもよい)。

 (2)背中をまっすぐにしたまま上半身を起こす。なるべく胸から手を離さない。

 (3)床に足の裏を全部くっつけて、ゆっくりと四秒ほどかけて立ち上がる。立ち上がるときに上半身が前に傾いてもよいが、背筋はなるべくまっすぐに保つ。

 (4)再びいすに座る。ゆっくりと五秒ほどかけて、(1)の姿勢に戻る。

 (1)から(4)までを十回、一日三セット行うと、一カ月もすれば立ち上がるときのつらさがいつの間にかやわらいでいることに気づくだろう。

 最初のうちは、手をついて立ち上がってもいい。まずは腹直筋と大腿四頭筋を動かし、筋肉を太くすることが大切だ。

 実は、立っているより、いすに腰かけている姿勢のほうが腰にかかる負担は大きい。腰痛に悩む人を見ていると、いすに座る姿勢が悪いことが多い。腹筋や背筋を適度に緊張させ背骨をまっすぐにして、深く腰かけるように意識したい。

クッションを活用

 特に注意したいのは、自動車を運転するときの姿勢だ。運転に慣れた人ほど、運転席を寝かせぎみにし、ゆったりと座っている人が多い。これでは背筋が衰える一方だ。運転席はできるだけ立てて、腰とシートの間にクッションを入れ、腹筋や背筋をまっすぐにしてやると、運転しながら腹筋、背筋をトレーニングでき、腰痛も予防できる。

 この姿勢からはベテランドライバーのゆとりが感じられないかもしれない。周囲からは冷やかされるかもしれない。しかし、最後に笑うのはだれか考えれば、周りの目など気にする必要はない。

 ひらした・まさみ=金城大教授・環境生理学、金沢市



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