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医療記事特集
貯めよう筋肉

 〔大腿を鍛える〕 呼吸に合わせ階段を上り下り 翌日は軽い散歩を
北國新聞(朝刊)2007年11月28日付

 強い風雨の後の晴れ間、里山を歩くと、赤や黄色に色づいた吹き寄せの景色が楽しめる。夢中で歩いた後、しばらくの間太腿(ふともも)の筋肉が痛くてつらい思いをする人もいることだろう。

下りで痛める

 階段や坂道を上るとき、太腿の筋肉が縮んで、力が出る。これだけなら筋肉痛にはならないのだが、下り坂で太腿やふくらはぎの筋肉が引き伸ばされながら力を出すとき、筋肉痛が起きる。

 筋肉を貯(た)める貯筋(ちょきん)を兼ねて野山を歩き回った後の筋肉痛は、体に悪いものではない。

 運動によって筋肉は微細に傷つく。それを修復するときに、腫(は)れたり熱を帯びる。それが筋肉痛の原因だ。

 言葉を換えれば、筋肉痛は、ふだん使っていなかった筋肉を使った証拠である。「イテテ」と顔を軽くしかめる程度の痛みは貯筋が進んだあかしと喜んでほしい。数日でおさまる。しかし腱(けん)や靭帯(じんたい)などが痛む場合は、注意すべき。長引くことが多いため、診療を受けたい。

 多くの筋肉痛の場合は、しっかり歩いた翌日は大事を取って休養するよりも、軽い運動で筋肉を動かした方が痛みは早くなくなる。太腿やふくらはぎが筋肉痛になっているときこそ、軽く散歩をしてほしい。

 階段や坂道の上り下りは、大腰筋(だいようきん)を鍛えるのにとても効果的な運動だ。米国の大学でOBを対象にオフィスが一階にある人と二階にある人の寿命を調べた結果、オフィスが二階にある人の方が二年も寿命が長いことが分かった。

 階段を毎日上り下りするだけで、寿命が二年も違うのである。私は常に、階段を探して使うようにしている。

 ただ、年を取ると、平地を歩くのさえ自信がなくなる。これは太腿の前にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)がほかの筋肉より早く衰えるためである。この筋肉が衰えると片足で体重を支えることが難しくなり、体がぐらつく。そのため転ぶのが怖くて階段の上り下りを避けるようになる。少しでも若いうちから階段を使うように心がけよう。

 階段を使えば貯筋も進む。自宅の階段ならそう段数も多くない。一般的に十二段前後の家が多い。太腿に理想的な負荷がかけられる。

 上りでは、足を持ち上げるとき息を吐(は)く。下りでは、足を下ろすときに息を吐く。上り下り三回を一セットとし、一日おきに行うと効果的だ。

相撲場階段で

 筋肉が最も貯まる運動の強さは、運動を終えたときにほんの少しだけきつく感じる程度である。階段の上り下りをすると実感できるはずだ。三カ月ほど続けてみよう。

 屋外で太腿の筋肉を鍛えるには、金沢の県卯辰山相撲場にあるような低めの階段がおすすめ。天気の良い日にドライブをかねて出かけて、気持ちもリフレッシュしてみてはいかがだろう。

 ひらした・まさみ=金城大教授・環境生理学、金沢市



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