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第69部・お肌を守る

(2262)伝染性膿痂疹 水ぶくれが体中に「飛び火」 治りにくい耐性菌が増加
北國新聞(朝刊)2018年07月28日付

とびひの症状を説明する藤井講師=金沢医科大病院
 体の一部にできた水ぶくれが容易に破れ、2、3日の間に体のあちこちに広がる病気がある。体中に「飛び火」するように見えることから、俗名はそのままずばり「とびひ」という。初夏から真夏に多い子どもの病気なので、子どものいる家庭は気を付けたい。

常在菌が原因

 この病気は正式には「伝染性膿痂疹(のうかしん)」と呼ばれる。原因は鼻の中に常在して通常は無害の黄(おう)色(しょく)ブドウ球菌である。金沢医科大病院皮膚科の藤井俊樹講師は「虫さされやあせもが原因になって発症します。夏に増えるのは、虫さされやあせもが多くなることと関係しています」と説明する。

 虫さされやあせもができると、かゆくなる。その部分を鼻に入れた指でかくと、黄色ブドウ球菌が感染し、バリアー機能が弱まった皮膚の表面で増殖して水ぶくれができ、周囲は炎症を起こして赤くなるのだ。

 「この水ぶくれはかなり破れやすい。手で引っかいて滲出(しんしゅつ)液が周囲の皮膚に付くと、その場所で菌が再び増殖します。これが『飛び火』の起きる仕組みです」と藤井講師が話す。

 治療は難しくない。特徴的な症状から皮膚科の医師なら診断は容易だし、原因の菌を殺す抗菌薬は飲み薬も塗り薬も一般的な薬で十分対応できる。通常なら4日ほどで水ぶくれやびらん、かゆみは収まり、1週間もすれば完治する。その間は、水ぶくれができた部分をガーゼで覆えば、ほかの部位に感染することを防げるし、他人にうつす心配もない。タオルを共有することは避けるべきだ。

適切な抗菌薬に変更

 ただし、明らかにとびひの症状がある患者でも、通常の抗菌薬が効かないことがある。

 藤井講師は「通常の抗菌薬が効きにくいメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)であるケースです」と紹介する。藤井講師によると、MRSAが原因のとびひは全体の2割ほどを占めていると推計され、以前よりも増加傾向にあるという。抗菌薬が普及するに伴い、耐性菌も増えているとみられる。

 藤井講師は耐性菌が原因だったケースを振り返る。小学生の男児は1週間以上、とびひの症状に悩まされていた。かかりつけの開業医を受診し、とびひと診断されて処方された抗菌薬を飲んでも水ぶくれの症状は改善しない。「おかしい」と感じて金沢医科大病院を受診して、藤井講師が原因菌を調べた結果、MRSAだと判明した。

 MRSAでも、適切な抗菌薬を使えば治療できる。男児は薬を変えると、みるみるうちに症状が消えた。

 とびひは通常は水ぶくれができた部位だけに症状が出る。しかし、きちんと治療しないと、菌がつくる毒素が血液に混じり、全身の皮膚がやけどのようにむけるブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群という病気になってしまう可能性がある。最近は早期に治療すれば治癒できるが、かつては重症になると、命を脅かす恐れもあった病気である。

 予防には虫さされやあせもをかかないことや、手をきちんと洗っておくことなどが挙げられる。子どもが納得するようしっかりと言い聞かせておくことが、とびひから身を守ることにつながりそうだ。



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