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第70部・昔の常識、今の非常識

(2269)風邪の検査 重症以外はウイルス特定不要 分かっても治療法同じ
北國新聞(朝刊)2018年08月19日付

小学生を診察する永田医師。過剰な検査は避けるべきと強調する=加賀市のながたクリニック
 風邪と診断された患者が、さらに検査を受けることがある。原因のウイルス特定が目的の一つだ。だが、金大医学類非常勤講師で加賀市のながたクリニック院長の永田理希医師は「重症でない限り原因のウイルスを特定する意味は小さく、検査が不要なケースがほとんどです」と話す。

 永田医師が不要と話すのは「RSウイルス」と「ヒトメタニューモウイルス」などの感染を調べる検査だ。RSウイルスは2歳まで、ヒトメタニューモウイルスは10歳までにほぼ100%の子どもが感染すると言われている。いずれも発熱やせきといった風邪の症状が出る。

保険で使えるキット

 検査では、医師が患者の喉や鼻の奥に綿棒を入れ、ウイルスの有無を迅速検査キットによって判定する。

 なぜ、便利なキットを使った検査が不要なのか。永田医師は「この二つのウイルスでは、感染が分かっても治療法は変わらないからです」と説明する。いずれのウイルスも特効薬はなく、水分を十分に取ってゆっくり休む、という風邪の「王道」の治療法が勧められる。

 自己負担が3割なら、検査費は1種類のウイルス検査で約千円、2種類なら約1500円かかる。保険で賄われる分を含めると、その約3倍が必要だが、この検査は重症の肺炎の場合に、抗菌薬が必要な細菌性か、不要なウイルス性かどうかを見極めることに役立てられるのみだという。

この二つの検査は近年、乳児や小児に対して外来診療での保険適用が認められた。永田医師は「ルーティンワークとして検査を行う医師もいます。医療費を抑制するためにも、肺炎など重症患者以外では控えるべきです」と話す。

症状出てから検査

 もう一つ、溶連菌という細菌による感染症にかかった患者に対する、急性糸球体(しきゅうたい)腎炎の合併の有無を調べる尿検査も、過剰に行われている現状がある。

 対象の患者はまず、溶連菌感染症で喉の炎症や発熱といった風邪のような症状が出て、患者が細菌を攻撃する抗菌薬を服用すると1週間前後で治る。しかし、この感染症が引き金となって、治ってから2週間ほど後には、患者の数%程度が急性糸球体腎炎になることがある。

 多くの医療機関では、溶連菌感染症の発症から2週間後に、急性糸球体腎炎の有無を確認する尿検査を慣習的に行っている。

 だが、永田医師は「腎炎になる可能性は小さい上に、腎炎だと分かっても当面は経過をみるだけです」と説明する。患者全員が時間とお金を使って尿検査を受けなくても、むくみや血尿などの症状が出た場合のみに検査を受け、合併症なのか違う病気なのかを見極めてもらえばいい。

 もちろん、永田医師は全ての検査が不要と考えているわけではない。溶連菌感染症が疑われる時は溶連菌の感染の有無を調べる検査が必要だ。溶連菌の感染が分かれば、抗菌薬で除菌できる。要は「治療に役立つ検査は行う。そうでないものは控える」という原則に当てはめて判断している。

 医学は進歩し、新しい検査が比較的手軽にできるようになってきた。その検査を、患者の負担をできるだけ増やさずに、治療に役立てることが大切なのだ。



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