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第70部・昔の常識、今の非常識

(2270)炎症反応 あくまで補助検査の一つ 異常なら原因探って
北國新聞(朝刊)2018年08月25日付

採血する患者。血液検査によって炎症反応の程度が分かる=加賀市内
 炎症反応という言葉を聞いたことがあるだろうか。炎症反応とは人の体内に入ったウイルスや細菌、けがが原因となって起きる体の防御反応を指す。この防御反応の結果、血液中のあるタンパク質が増えるので、血液検査で体内で異常が起きていないのか、知ることができるのだ。

血液検査で調べる

 例えば風邪をひいて医療機関を受診した際、医師から炎症反応を調べる血液検査を指示されることがある。炎症反応のマーカー(指標)にはCRPというタンパク質や白血球がよく使われる。白血球は感染や炎症から1〜2時間で上昇し、CRPは4〜6時間で上昇する。白血球は重症化するとむしろ低下するという。

 この炎症反応の数値が高ければ、医師が「細菌に感染しているかもしれない」と考え、抗菌薬の処方の基準にすることがある。しかし、金大医学類非常勤講師で加賀市のながたクリニック院長の永田理希医師は「炎症反応は体の状態を知る一つの情報ですが、病名の診断や抗菌薬処方の根拠にはなりません」と話す。

 炎症反応が高くても、抗菌薬が効く細菌に感染しているとは断定できないからだ。永田医師は「炎症反応はあくまで、補助的な検査で参考にするだけなのです」とし、炎症反応が高い場合には、病気の見逃しがないか、問診や視診、触診、聴診などをやり直す材料にしている。そして、原因を見極めた後に、それに対応した治療法を実施し、患者に薬の根拠と目的、次にどのような症状になれば、再診すべきかの「説明処方」を行えばよい。

 念のための抗菌薬ではなく、この説明処方をもらうために医療機関を受診するのである。

 炎症反応が高いとの結果だけで3日分の抗菌薬が処方されることもあるが、永田医師は、原因を特定した上で抗菌薬を処方しないと、病気や感染している細菌の見逃し、耐性菌の誘導などのデメリットにつながると強調する。

ワクチン接種が大切

 10〜20年前には、発熱し、炎症反応が強い3カ月〜3歳未満の乳児には、抗菌薬を処方して潜在性菌血症を防ぐべき、と言われていた。子どもが比較的元気でも、命に関わる重篤な病気につながる可能性があるからだ。

 潜在性菌血症は肺炎球菌やインフルエンザ菌という細菌が原因で、体内で増殖して髄膜炎などの重い病気になってしまうことがある。炎症反応の数値が異常に高くて潜在性菌血症が疑われたら、予防効果を期待して抗菌薬を投与していたのだ。

 「だが、最近はワクチンが普及して潜在性菌血症が減り、海外の小児感染症ガイドラインでも全身状態がよければ抗菌薬はすべきではないと記載されています」と永田医師が指摘する。

 肺炎球菌やインフルエンザ菌のワクチンは、国が乳児の接種を推奨する定期接種となったため、接種率が上昇。こうした細菌に感染する子どもが減り、その結果、潜在性菌血症の患者も少なくなっているという。

 永田医師は「ワクチン接種は重症感染症を予防できるというメリットが大きい。肺炎球菌やインフルエンザ菌だけでなく、風疹、麻疹、水痘などのワクチンは可能な限り接種してほしい。子どもの健康に生かさない理由はない」と呼び掛けている。



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