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第70部・昔の常識、今の非常識

(2277)耳掃除 「奥をごりごり」は厳禁 受診して病気も発見
北國新聞(朝刊)2018年09月16日付

耳あかは自然に外へ出るため、耳掃除は基本的に必要ない
 お風呂上がりに自宅のソファでくつろぎながら、綿棒で耳を掃除する。日課として楽しみにしている人をはじめ、耳の中がかゆくなってついやってしまう人もいるだろう。が、「必要ない」「危ない」との声も聞く。

細い綿棒なでるだけ

 「家庭での耳掃除は十分に気を付けてほしい」と話すのは、金大附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部(とうけいぶ)外科の杉本寿史講師。どうしても、やりたいのであれば、子ども向けの細い綿棒で、耳の入り口をなでる程度が望ましく「それもかなり慎重にやってほしい」と繰り返す。

 杉本講師によると、綿棒を耳の奥まで入れてごりごりとこするのは、耳の機能を失うことになりかねず、厳禁とする。「耳は音の大小や高低を聞き分けるため、かなりデリケートにできている」と話す。

 耳は外側から外耳、中耳、内耳でできている。外耳に入った音の振動は鼓膜を経て中耳に伝わり、その振動が内耳で電気信号に変換され、神経を経て脳に伝わる。「小さな空気の振動まで変換できる。この部分を痛めると、治すのは簡単ではない」と杉本講師は語る。

 実際、杉本講師によると、過去には運転中に耳掃除をしていて事故に遭い、鼓膜を破った上に音を変換する内耳の機能を痛めたケースがあった。この患者は結局、難聴が残ってしまった。

 さらに、内耳にあって人間の平衡感覚をつかさどる「三半規管」を痛めると、取り返しがつかなくなる。「めまいや体調不良などと生涯にわたってつきあわなければならなくなる」。杉本講師は、仮に耳掃除をする場合、安定した場所に座り、なおかつ、急に動いたり、抱きついたりする子どもやペットが周囲にいない環境が欠かせないとする。

 しかし、耳の中に何かあるようで気になって仕方ないときもある。耳あかはとらなくても大丈夫なのだろうか。  「耳の機能は優れている。基本的には、耳あかが外に出やすいようになっている」。杉本講師によると、そもそも耳あかとは耳の中の古い細胞や分泌物だ。外耳の中にできるが、本来であれば、自然に外へ外へ排出される。

皮膚痛めて「くせ」に

 一方、耳掃除がくせになっている人は、綿棒で強くこすることで皮膚が痛み、炎症を起こしてかゆみを感じ、またこするという悪循環に陥っている恐れがあるという。

 ただし必ずしも掃除をしなくてよいわけではない。耳あかの粘着度が高い人や、耳に炎症がある人はたまりやすい傾向にある。

 たまりやすい人やくせになっている人は身近な耳鼻咽喉科で「耳垢(じこう)塞栓(そくせん)除去」を受けるのが良い。文字通り「病院で耳掃除をしてもらう」という意味で、ちゃんと保険診療の対象になり、病気の発見にもつながる。例えば、耳あかがよく出る上に、痛みがある場合には「外耳道真珠腫(がいじどうしんじゅしゅ)」が疑われ、早期に治療しないと難聴が残ることもある。

 杉本講師は「耳あかを医師に安全にとってもらい、同時に耳の病気がないかチェックをしてもらう機会になる。ぜひ受診してほしい」と話す。

 芸術の秋には、音楽を楽しむ機会が増える。そのためにも不要な耳掃除は避けて健康を保つことが欠かせない。



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