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第70部・昔の常識、今の非常識

(2289)野球肘 投げすぎ以外でも発症 チェックで変化見逃さない
北國新聞(朝刊)2018年10月28日付

肘をまげて自己検診ができる
 今年も野球のドラフト会議が開催された。これからスター選手になれるかどうかは努力次第だが、けがで夢がかなわないままの選手もいる。球児のけがといえば「野球肘」。投げすぎが原因のイメージがあるが、それだけが理由ではない。成長過程の小中学生特有のケースもある上に、他のスポーツで起きることもあり、注意が必要だ。

 「野球を始めてまだ数年の小学生でも、いわゆる『野球肘』が起きる」。こう説明するのは、金大附属病院整形外科の中瀬順介助教だ。ツエーゲン金沢のチームドクターであり、同じく医師としてチームに関わる浅井一希、豊岡加朱両医員と共に、スポーツ関連のけがの治療に取り組む。

内側、外側の2種

 野球肘には主に二つの種類がある。一つは「内側(ないそく)型」と呼ばれ、内側(ないそく)側副靱帯に関連して起きるケース。もう一つが、「外側(がいそく)型」と呼ばれる離断性骨軟骨炎だ。肘の骨や軟骨が損傷するけがで、成長過程の小中学生に起きやすい。

 野球肘は投げすぎも要因になり得るが、中瀬助教は「投げ方やボールの握り方も重要になってくる」と指摘する。

 例えば、投げるときに肘が下がっていると、靭帯に引っ張られる部分と圧迫される部分のバランスがくずれて過度の負担となる。握り方は人さし指や中指とともに、親指を意識しないとしっかりボールを保持できず、結果として肘の負担につながる。これらは内外を問わず野球肘を誘発する可能性がある。

 中瀬助教によると、理想のフォームの一つは、現ソフトバンク監督で、西武やダイエーのエースだった工藤公康監督。体全体を使ってしなやかに投げることが大切になる。

 外側型野球肘は検診すると、2〜3%の確率で見つかるとされる。金沢市内の整形外科医師は同市学童野球連盟と協力し、昨年から学童球児を対象に超音波検査を行っている。今年は11月を予定しており、違和感がなくても検査を受けるのがよいとする。

 内側型の野球肘は起きると、すぐに痛みを伴うが、外側型の野球肘は重症化するまで痛みが出てこない。このため、家庭やチームでできるセルフチェックが大切になる。

 肘を曲げ、外側にある骨を触って痛みを感じたら、要注意だ。次に手のひらを上にして肘をまっすぐ伸ばす。肘を曲げて手を肩につけた後、再び肘を伸ばす。痛みがなくても肘がまっすぐ伸びなかったり、動きが硬かったりするときにも、外側型の野球肘を発症し始めている恐れがある。

他スポーツでも発症

 さらに、浅井医員は「怖いのは他のスポーツでも症状が出ることだ」と注意を促す。球技のドッジボールに加え、飛び込みや体操、ブレイクダンスでも、肘に不均衡な力が加わる動きが繰り返されたことで、「外側型」が起きた例がある。

 外側型野球肘は早期に発見すれば、手術をしなくても治療できる。「若ければ、若いほど、治るのも早い。痛みを感じたらすぐに親や監督に伝える。親や監督も気に掛けてあげてほしい」と中瀬助教は力を込める。

 常識は日々変化し、いつしかそれが非常識になることもある。根拠がないものにとらわれず、正しい知識を身に付けることこそ欠かせない。

(第70部・おわり)



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